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お盆になると、きゅうりとなすをお供えするという慣習がある地域があります。
そのきゅうりとなすには、なぜか足状のものが刺さっており、見た目は動物のように見えます。
初めてこのお供えを見た人なら、これは一体何?と思いますよね。
でもこのような形のきゅうりとなすをお供えするには、ちゃんと意味があるのですよ。
そのようなお供えをする意味と作り方について解説します。
また、地域によって供え方が違うのかについても、併せて解説いたします。
お盆にきゅうりとなすをお供えする意味は?
(お供えの名は、精霊馬!その意味は?)
①精霊馬(しょうりょううま)
・・・お盆のきゅうりとなすのお供えものは、ご先祖様をお迎えするもので、「精霊馬(しょうりょううま)」と呼ばれ、きゅうりを馬、なすを牛に見立てたものです。
この精霊馬には、お盆の短い期間にご先祖様や亡くなった家族を迎えるにあたり、足の速い馬(きゅうり)で速く来てほしい、帰りは牛(なすび)に乗り少しでもゆっくり戻ってほしいという意味が込められているのです。
(なぜ、きゅうりとなすび?)
そして、数多い野菜の中から、きゅうりとなすびが選ばれたのは、次の理由と言われています。
①夏野菜の代表
・・・二つとも夏野菜で、夏に多く作られるので、比較的に手に入りやすい。
②形が動物っぽい
・・・二つとも反りがあり、動物っぽい形である。
③馬と牛が想像できる
・・・細長いきゅうりが馬、少し太めのなすは、牛に見立てることができる。
④串(又は割りばし)が刺せる
・・・本体に足を刺して、立たせることができる。
⑤手ごろな大きさ
・・・仏壇などに乗せる丁度良い大きさである。
⑥馴染みが深い
・・・日頃から食べることが多い野菜である。
(手作りちりめん細工 ミニ精霊馬6点セット:仏縁堂)
ぷっくりした可愛いちりめんで出来た精霊馬とほおづき、木製盆提灯、フェルト台座、木製専用敷材の6点です。
京都で作成された精霊馬は、本物の野菜のように傷むことはなく、虫も寄らないので毎年使うことができます。
自宅で使うこともできるし、お盆の贈り物としても喜ばれます。
お盆にお供えする、きゅうりとなすの作り方は?足は何を使うの?
(簡単な作り方)
作り方は、きゅうりとなすに足を刺すだけなので、簡単にできます。
①材料を用意する
・・・手頃なきゅうりとなすを1本ずつ用意します。
②足を作る
・・・割りばしなどを折って、8本(長いの4本、短いの4本)の足にします。
③足を胴体に刺す
・・・きゅうりに長い足4本、なすびに短い足4本を、本体に八の字状にグサッと刺します。
④馬と牛を立たせる
・・・馬と牛が立っているように、バランス良く置きます。これで出来上がりです。
足は、一般的に割りばしを折ったものを使います。
しかし、小さい子供が足を作る場合、大人のように、割りばしを折ったり切ったりすると危ないので、爪楊枝がいいでしょう。
(水引盆帰郷セットNo1 庵心堂)
盆帰郷提灯、桔梗銀立台付き高さ28㎝、LED灯明 蓮華 紫光(底径約4.2×花びら部分幅約8×高さ約4cm)精霊馬・お迎え馬(約長さ8.5×幅4×高さ6.5cm)・送り牛(約長さ6.5×幅3.5×高さ5cm)ほおずき(約幅4×長さ4.5cm)
全て手作り品であり、ろうそく型LEDを使用してるので、実際に火を使うことはありません。
お盆にきゅうりとなすをお供えするのは、地域によって違うの?
<灯篭流し>
(全国で行われてはいない)
精霊馬に込められた意味については、日本全国共通に知られています。
ところが、この慣習は全国的なものではなく、主に関東を含んだ東日本で行うことが多く、関西など西日本では、ほとんど行われません。
実は全国的な慣習ではなかったのです。
ただし、個人的に行っている方はいるようです。
供え方についても地域によって違いがありますので、地域別にご紹介します。
①北海道
・・・北海道は元々本州から渡った人達の子孫が多いので、精霊馬を作る慣習がある、無いはバラバラです。
しかし、精霊馬ではなく、仏壇前に盆提灯を飾ることや8月16日にお盆明けとして、送り火を焚いて灯篭流しを行うことはあります。
②東北、北陸、中部
・・・送り盆の16日だけ精霊馬を精霊棚に飾り、お供え物と一緒にその日のうちに処分します。
③関東
・・・8月13日(迎え盆)に作り16日(送り盆)まで精霊棚に飾ります。飾る場所は玄関や門に飾ることもあります。
④西日本
・・・精霊馬ではなく、藁や木で作った精霊船を作ってお見送りをすることが多いです。長崎では精霊船を流すのを「精霊流し」と呼んでいます。
まとめ
精霊馬は、全国的な慣習ではなかったのですね。
でも、ご先祖様を大事に考えている気持ちはわかります。
作り方は簡単なので、慣習でなくても行ってみるのも良いと思います。