離婚する原因は様々ですが、その中には話し合いが難航し、離婚に至らない場合もあります。
そのような場合、裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立て、離婚する・しない、離婚する場合のお互いの条件などを話し合うことができます。
その調停を行うときに弁護士は必要なのでしょうか?
それとも必要ないのでしょうか?
また、法テラスという制度を利用すると弁護士代が安いと言いますが、本当でしょうか?
これらのことについて、解説いたします。
離婚調停とは、どのようなことをするの?
離婚調停とは、夫婦間の紛争を解決するための手続きの一つです。具体的には、離婚するかどうか、養育費、財産分与、慰謝料、面会交流権などについて話し合います。
(離婚調停の概要)
①原則
・・・調停を申し立てる者(妻か夫)が、相手の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
②調停委員会
・・・裁判官1名、最高裁判所が任命する調停委員2名(男女1名ずつ)
調停委員は、40歳以上70歳未満で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人から選ばれます。
一般的には、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士などの専門家や地域社会に密着して幅広く活動してきた人が各分野から選ばれます。
(離婚調停の流れ)
①妻か夫の調停申し立て
・・・離婚調停の手続きを開始するために、当事者の一方が家庭裁判所に申し立てを行います。
②家庭裁判所から夫婦それぞれに呼出状が届く
・・・家庭裁判所から、調停委員会の開催日などが記載された呼出状が夫婦それぞれに届きます。
呼出状には、調停委員会の開催日時や会場、調停に関する注意事項などが記載されています。
③第1回調停
・・・最初の調停は、夫婦の話し合いによって解決することを目的としています。
調停で話し合う内容は、離婚するかどうか、養育費、財産分与、慰謝料、面会交流権などです、
④数回の調停
・・・離婚調停は、複数回にわたって行われることが一般的です。
当事者が納得できる解決策が見つかるまで、何度も話し合いが行われることがあります。
⑤離婚調停終結
・・・調停が成立した場合は、調停合意書に基づいて離婚手続きを進めることになります。
一方、調停が不成立だった場合は、離婚訴訟を提起することが可能です。
調停が不成立だった場合でも、調停手続きを通じて当事者同士の意見が明確になったり、和解の可能性が高まることがあります。
離婚調停に弁護士を依頼するメリット・デメリットは?
(代理人に弁護士を依頼)
離婚調停に代理人として、弁護士を依頼することができます。
一般的に弁護士が調停代理人になると、離婚調停の申立書作成や調停手続きに同席します。
弁護士を依頼する主なメリット・デメリットは、次のとおりです。
(メリット)
①必要書類の作成
・・・申立書や陳述書などを作成してくれます。
②書類に不備な面が無い
・・・準備など精神的負担を和らげてくれます。
③自分の主張を整理して調停委員に伝える
・・・必要なことを適切に伝えてくれます。
④相手の主張に適切に対応する
・・・相手のペースにならず、法律的なアドバイスをしてくれます。
⑤代理人として相手と対応してくれる
・・・自分が直接相手と会う必要がない。
(デメリット)
①弁護士費用がかかる・
・・金銭的負担があります。
②調停がうまくいくかはわからない
・・・弁護士に依頼しても、期待どおりの結果になるとは限りません。
離婚調停に弁護士はいる・いらない?
(メリット・デメリットを検討)
離婚調停に弁護士への依頼は、必要条件ではありません。
弁護士がいるかいらないかは、前項のようなメリット・デメリットを考えて、自分で判断することになります。
①離婚調停は流れ作業
・・・離婚調停は、申立書など必要書類を提出すると、流れ作業的に進みます。
また、当事者同士が直接会うことはないので、弁護士を代理人としなくてもよいです。
②弁護士に依頼しない人もいる
・・・弁護士に依頼すると費用がかかるので、争う内容が法的なことが少ない、財産が少ない、子供がいないなど、あえて弁護士に依頼しない方も少なくありません。
離婚の弁護士費用は法テラスを利用すると安くなる?
(法テラスとはなに?)
①法律トラブル解決の機関
・・・「法テラス」とは、正式名称を「日本司法支援センター」と言い、国によって設立された法律トラブル解決のための公的機関で、法務省が所管しています。
法律的な問題で、離婚、借金、相続などの問い合わせに対して、経済的に余裕がない人や近くに専門家(弁護士など)がいない人などに、情報やサービス提供をしています。
②料金はどのくらい?
・・・一般的に弁護士費用は、約50万円~100万円くらいと言われています。
法テラスには、無料相談や弁護士費用の立替(代理援助)が受けられる場合があるので、活用することをおすすめします。
原則として、立替費用は分割償還ですが、事件の終結時の決定内容により免除や猶予されることがあります。
まずは、法テラスの無料法律相談を行い、調停費用を抑えることができるのか検討することが必要だと思います。
法テラスHP
まとめ
弁護士に調停依頼をすると、当然費用がかかります。
弁護士に依頼する前に法テラスの無料相談をして、費用を節約できるかどうか検討した方が良いでしょう。