運転免許については、高齢や身体障害、病気などにより、安全運転に支障がある人に対して、運転免許の返納以外にも更新拒否、保留、取り消し、停止などの措置が取られる場合があります。
また一方で一定の病気によっては、診断書の提出により、免許更新の延長や再取得が認められる場合があります。
しかし、これらの措置が取られる病気とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、運転免許の更新拒否をされる場合や、保留・取り消し・停止される主な病気の種類と、再取得する方法、病気の診断書は必ず必要かについて解説します。
運転免許の更新拒否などをされる場合の病気とは?
(病気の一覧)
免許更新時に、更新拒否や保留などをされる主な病気には次のものがありますが、詳細については下記の警察庁のホームページで確認するようお願いします。
運転免許を拒否または保留される場合、運転免許の取り消し又は効力の停止を受ける場合などがあります。
参考:警察庁ホームページ
①認知症
・・・脳の器質的な変化により日常生活に支障があるもの、記憶機能・認知機能低下。
運転していること自体が、よくわかっていないことがあります。
認知症は、年を取ることで発症することが多いため、高齢者によく見られます。
また、認知症の症状は人によって異なるため、安全運転ができるかどうかは個人によって異なります。
・・・身体や精神状態が異常になり、正常な運転ができなくなります。
アルコールや薬物は、運転に悪影響を与えることが知られています。
③幻覚の症状を伴う精神病で政令により定めるもの
・・・統合失調症で幻覚、妄想の症状があり、安全運転に支障があるもの。
精神病は様々な症状を引き起こすことがあり、特に幻覚や妄想の症状がある場合は、安全運転ができなります。
④てんかん
・・・発作再発の恐れがないもの、発作が再発しても意識障害や運動障害がないものは除きます。
てんかんは、発作を引き起こすことがある病気です。
発作が再発すると、安全運転ができなくなる場合があるため、運転はできません。
ただし、発作が再発する恐れがなく、意識障害や運動障害が無い場合は、運転をすることができる場合があります。
⑤再発性の失神
・・・脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらすもので、発作が再発するおそれがあるもの。
運転中に発作を起こすと、安全運転ができないので、大事故を起こす可能性が大きいです。
⑥低血糖症
・・・無自覚性のもの、人為的に血糖を調節できるものによっては、除かれる場合があります。
低血糖症は、血糖値が低下した状態で運転すると、気を失うことがあり、その場合は運転することはできません。
⑦そううつ病
・・・自動車等の安全運転に支障がある症状のもの。
躁うつ病の場合、自動車の安全運転に支障をきたす症状がある場合があります。
ただし、治療によって症状を改善することができる場合もあります。
⑧睡眠障害
・・・重度の眠気の症状があるもの。
睡眠障害は、眠りに関する問題を引き起こす病気です。
睡眠障害の場合、重度の眠気の症状がある場合があります。
眠気があるまま運転をすると、大事故を引き起こすことがあるため、運転を控えるか、十分な睡眠を取り安全運転に配慮することが必要です。
⑨自動車の安全運転に、必要な認知等の能力が欠けている恐れがある症状がある病気
・・・交通ルールを忘れることや、必要以上にスピードを出すことや、低速の状態のまま運転を続けることがあります。
このように、安全運転に支障があると考えられる場合は、医師の診察を受け適切に安全運転ができるか確認する必要があります。
(免許更新時に健康状態について申告)
平成26年に道路交通法が改正され、運転免許更新時に健康状態について、公安委員会に申告することが義務付けられました。
虚偽申告した場合は、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる場合があるので正確に申告するようにしてください。
運転免許の取り消しや効力の停止・保留を受ける場合とは?
(回復する見込みによって決まります)
①免許の取り消し、効力の停止
・・・運転免許の試験に合格した人が前項の欠格事項に該当する病気の場合は、免許の取り消しや効力の停止を受けることがあります。
②免許の保留
・・・6ヵ月以内に交通安全上支障ないまで回復する見込みのある場合は、保留となることがあります。
③免許取り消し
・・・6ヵ月以内に治る見込みがない場合は、免許の取り消しとなることがあります。
免許の再取得する方法は?
(免許更新の条件は?)
免許更新をうっかり忘れて失効した人や、海外駐在、病気などが原因で免許更新ができなかった人の免許更新には、下記のものがあります。
①失効後6ヶ月以内
・・・特定失効者に対する講習を受けて、適性試験に合格することが必要です。
②失効後7~12ヶ月
・・・大型、普通に限り、仮免許の技能試験、学科試験が免除になります。
③失効後7ヶ月~3年以内
・・・やむを得えない人は、やむを得ない事情が終わった日から1ヶ月以内に「特定失効者に対する講習」を受け、適性試験に合格しなければなりません。
3年以上経過している人は、新たに運転免許試験(適正・学科・技能)を受ける必要があります。
④失効後7ヶ月以上経過、やむを得ない事情が終わった日から1ヶ月以上経過
・・・失効後12ヶ月以内であれば、大型、普通に限り、仮免許の技能試験、学科試験が免除されます。
病気や出産などで入院していときなどやむを得ない事情で免許更新ができなかった場合は、再取得の申請のときに入院・退院の年月日の記載された「診断書」が必要となります。
免許更新や再取得のときに病気の診断書は必要か?
(病気に対する診断書は必ず必要です)
①すぐに再取得はできない
・・・病気でやむを得ない事情に該当するからといって、すぐに再取得ができると思ってはいけません。
免許の欠格事項に該当する病気は、診断書を出して退院してもすぐに免許更新をすることはできないからです。
②てんかんの場合は
・・・てんかんの場合は、運転に支障がある発作が2年間なく、症状が悪化する恐れがないという診断書が必要となります。
(運転に支障が無いという診断書が必要)
てんかん以外でも運転に支障がないという診断書がなければ、再取得の手続きをすることはできません。
免許の再取得するときは、病気が運転に支障するかどうかが重要なので、内容や症状について、しっかり医師と相談してください。
運転に支障がある場合は、自主返納を考えましょう。
運転免許を返納しても、運転経歴証明書の申請・交付を受けると、身分証明書として使用できます。
(まとめ)
免許の更新は、自動的にできるわけではありません。
身体及び精神に異常がなく、安全運転ができることが必要です。
病気になった場合は、医者の診断を受けて適切に判断して運転免許の更新をしましょう。
また、今回は概略を示しましたが、詳細については、警察庁ホームページなどで確認することをお願いします。