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車椅子を選ぶ際には、利用者が扱いやすいブレーキが重要なポイントとなります。
自力での走行が可能な場合、ブレーキによる制御が必要となりますが、様々な場面で使用されることが予想されるため、慎重に選ぶ必要があります。
車椅子を使用する際には、走行中や坂道、駐車場、横断歩道、電車の乗り降りなど、多くの場面でブレーキが必要となります。
そのため、車椅子のブレーキの種類について理解することが重要です。
その車椅子のブレーキには、主にレバー式・タッグル(トグル)式・ドラム式があります。
今回は、その3種類のブレーキについて、どのような仕組みでどのような状態の利用者が扱いやすいのかについて解説します。
車椅子のブレーキ、レバー式とは?
(レバー式の構造)
①設置場所
・・・レバー式は、後輪の前でサイドガードに設置されています。
この配置により、車椅子使用者がブレーキをかけやすく、安全に走行することができます。
②使用方法
・・・レバーが差し込まれている平板部分に3か所程度のブレーキの強弱をする凹形の溝があり、その溝にレバーをはめ込んで固定し、直接後輪タイヤを押さえつけて固定します。
ブレーキを解除するときは、凹型の溝からレバーを外します。
この簡単な操作により、車椅子使用者は自由自在に移動することができます。
③特徴
・・・レバーを凹部に入れたりずらしたりするため、一定の力が必要です。
しかし、このレバー式ブレーキは、車椅子使用者が自力で坂道を上ったり下ったりすることができるため、自立性を高めることができます。
ただし、車椅子使用に慣れていない方には、この操作が難しい場合があります。
その場合は、介助者が利用者に代わってブレーキをかける必要があります。
しかし、簡単な操作により、車椅子使用者は自分でブレーキをかけることができるため、自由な移動が可能になります。
車椅子のブレーキ、タッグル(トグル)式とは?
①設置場所
タッグルと呼ばれることが多いですが、車椅子の機械構造としてはトグルが正式な名称です。
ブレーキとしての設置個所はレバー式と同じ位置ですが、構造が少し異なります。
②使用方法
・・・タッグル式は、レバー式のように平板部の凹部でブレーキの強弱を切り替えるのではなく、前後の動作だけでブレーキをかけることができます。
ブレーキをかけるときは手前に引き、解除するときは逆に押すようにするだけなので取り扱いは簡単です。
③特徴
タッグル式は、レバー式ほど力がいらないので、レバー式よりも幅広く利用者が扱うことができます。
高齢者など、力が弱い人でも比較的簡単にブレーキをかけることができます。
そのことから、現在の車椅子では一番多く使用されている形式のブレーキです。
また、タッグル式は、レバー式よりも繊細な力加減ができるため、ブレーキをかける際に車椅子が揺れにくく、より安定した走行ができます。
タッグル式は、より安全で快適な移動を実現するためのブレーキとして、多くのユーザーから支持されています。
車椅子のブレーキ、ドラム式とは
①設置場所
・・・レバー式やタッグル式は、直接タイヤの表面を押さえつけて摩擦力により車椅子を止めます。
しかし、ドラム式はこれらと異なり、タイヤを押さえつけて止めるのではなく、後輪の車軸をベルト状の器具で巻き付くように締め付けて止めます。
自転車のドラム式ブレーキと同じ構造と思ってください。
②使用方法
・・・ドラム式ブレーキは、レバー式やタッグル式のように雨の日に制御力低下する恐れもなく、雨の日も強い制動力を発揮するのでとても安全です。
③特徴
・・・ドラム式ブレーキは、利用者自身が使うのではなく、介助者が後部ハンドルに付いているブレーキで制御するものと思ったほうがよいでしょう。
利用者が自分で使用する場合には、手元のハンドルについているレバー式ブレーキや、タイヤ側についたタッグル式ブレーキの方が適している場合があります。
まとめ
車椅子のブレーキには、使用方法と構造が異なります。
ドラム式ブレーキは、雨の日でも強い制動力を発揮するため、安全性が高くおすすめです。
ただし、利用者自身が使うのではなく、介助者が制御することが多いため、注意して使いましょう。
自分の使いやすいブレーキを選んで、快適な車椅子ライフを送りましょう。