日本では母乳に代わる赤ちゃんの飲み物としては、主に粉ミルクが使われています。
ところが近年の地震や水害などの災害避難場所で、粉ミルクを使用しようとしても、哺乳瓶の消毒ができない、お湯を自由に沸かせない、ミルクの温度を調整できないなど使いにくい面がありました
そこで粉ミルクよりも使いやすく常温でも飲めるという「液体ミルク」を防災グッズとして備蓄することや製造販売することが求められていました。
そして2018年に「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」が改正され、日本でも製造販売が
できるようになりました。
液体ミルクは世界中に流通して使用されているのに、なぜ日本では流通していなかったのでしょうか。
液体ミルクが防災グッズとして有効なのか、またメリットとデメリットとについて解説します。
液体ミルクとは?なぜ今までなかったの?
(液体ミルクとは)
赤ちゃんに対して母乳が不足したときや授乳困難な場合に、母乳に替わる飲み物です。
栄養は粉ミルクと同じですが、粉ミルクのように70℃以上のお湯で溶かしてから適温になるまで冷やして与えることが不要で、すぐに常温で赤ちゃんに与えることができます。
海外では以前から液体ミルクは使用されていましたが、粉ミルクと併用して使用している国がほとんどです。
海外では外出時や旅行などでは開けて飲ませるだけの液体ミルク、家にいるときは粉ミルクなど、それぞれ家庭の事情や環境によって使い分けもしているようです。
(日本で流通しなかったのはなぜ?)
日本の食品衛生法では粉ミルクについては、「乳等省令」で規定されていました。
液体ミルクについては知識がなく、海外から輸入しても乳飲料として分類されるだけで赤ちゃんに飲ませる飲み物としての認識はなかったようです。
また、海外では普及していた液体タイプのミルクの製造や販売も、日本では禁止されてはいなかったのですが、粉ミルクに比べて2~3倍の値段や、開封して飲み始めたら飲み残すのは厳禁だということで、製造・販売に踏み切れなかったようですね。
確かに液体ミルクが便利なのはわかるけど、値段からみたら粉ミルクの方を買うというのが現実だったと思います。
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液体ミルクは防災グッズとして使用する!
(防災グッズとしての要望が増えた)
日本での流通がほとんどなかった液体ミルクが注目を集め始めたのは、阪神・淡路大震災や東日本大震災のような対規模災害時に、沸騰消毒や衛生的な水(お湯)が必要なく、赤ちゃんが常温でそのまま飲むことができる液体ミルクの国内販売を求める要望が大きくなったことです。
また熊本地震のときにも、駐日フィンランド大使館から災害の救援物資として液体ミルクが配布されたのも、防災グッズとしての必要性・有効性を高めました。
(日本で液体ミルクが解禁)
そして2018年に液体ミルクの規格基準が定められ、日本企業による液体ミルクの製造・販売が認められたのです。
災害時には水道や下水、電気、ガスコンロなどが使用できるとは限りません。
液体ミルクは、非常時の赤ちゃんの栄養飲料として、また防災グッズとしての需要や、通常時の育児軽減を目的として売り上げが伸びています。
母乳以外に授乳するときの主なメリットとデメリットです。
(メリット)
・開封後すぐに飲ませることができる・・・これが最大のメリットですね。早朝でも深夜でも場所を選ばず授乳できます。
・母親以外の他人でもすぐに授乳できる・・・粉ミルクで授乳ができない人も、簡単に飲ませることができます。
・飲ませるのに時間がかからない・・・沸騰消毒やお湯で温めることや、冷やす必要が無く、蓋を開けるだけで飲ますことができます。
・常温で保存できる・・・調理済みで常温での保存が可能なので、災害グッズや備蓄品としての保存も可能。
・外出時にも手軽・・・手軽に飲ますことができるので、ちょっとした外出にも便利です。
(デメリット)
・粉ミルクよりも価格が高い・・・単純比較すると液体ミルクは高いので、目的によって粉ミルクと使い分けすると良いでしょう、
・常温で飲まない赤ちゃんがいる・・・赤ちゃんの中には、少し温めないと飲まない子もいます。
・飲み残しは厳禁・・・開けたのに残してしまったとき、捨てるのがもったいないですね。
まとめ
液体ミルクを防災グッズとして備蓄するのは良い考えですね。
液体ミルクと粉ミルクはそれぞれメリットとデメリットがあります。
また価格も違うので、使う環境や目的に合わせて使い分けするのが良い方法だと思います。