介護現場では、高齢者や身体障害者を対象とする生活支援や介助用具として、車椅子が広く利用されています。
公共施設やサービス施設などの出入口でも、車椅子を見かけることが多いですよね。
そのように日常的に利用されている車椅子ですが、ちょっとした操作上のミスや安全確認が不十分なことにより事故が発生し怪我をしたという報告が多いようです。
これらの車椅子の事故原因には、車椅子特有の構造もありますが、利用者の操作や安全確認不足なども原因と言われています。
そこで今回は、車椅子事故の例(原因、改善策を含む)を参考に、未然に車椅子事故を防ぐ方法をご紹介します。
今後の車椅子事故を未然に防止するために参考にしてくださいね。
車椅子事故はフットレストの事故が多いにはなぜ?
車椅子のフットレストとは、車椅子前方の下側に設置されている足を置く部分のことを言い、構造的に必要に応じて上げ下げすることができます。
一般的に車椅子のフットレストの上げ下げは、次のように使用します。
(上げて使用する場合)
①乗車する前
・・・利用者が車椅子に乗る前に上げることで、利用者は地面に足が着いた状態で車椅子に乗ることができます。
②移乗するとき
・・・車椅子利用者を移乗するときは、上げた状態で足を地面に付けたままで行ないます。
③降車する前
・・・車椅子から降車するときは、前もって車椅子を止め、上げた状態で直接足を地面に付けることでバランスを保ちます。
(下げて使用する場合)
①乗車中
・・・乗車中は足が車椅子フットレストにしっかり乗せ、地面に足が着くことや車椅子に挟まることを防ぎます。
(フットレストによる事故が多い原因は?)
①介助者から見えにくい場所にある。
・・・フットレストは、車椅子の中でも介助者から見えにくい場所にあり、他のことに気を取られると、上げることをつい忘れることや安全確認を怠ってしまうことがあるようです。
また上げた状態だったとしても、何らかの原因により下がってしまった場合、気が付かないでそのまま動かしたり立ち上がったりすることがあります。
②フットレストに足を乗せて立ち上がる
・・・足を乗せた状態で立ち上がり、バランスを崩して転倒することがあります。
③フットレストの上げ下げが不十分
・・・上げ下げをしっかりしないで不十分なまま移動させて、足を挟めることやぶつけて怪我をしたということがあります。
車椅子のフットレスト事故の例と原因は?
(事故例1:皮膚損傷)
原因:フットレストに足を引っかけた
・・・筋力低下など全介助が必要な高齢者を、複数の介助者でベッドから車椅子へ移乗したとき、フットレストは上っていたが、右足のかかとがぶつかり皮膚が損傷をしてしまった。
改善策:安全確認の徹底
・・・複数で介護するときは、事前に役割分担をして安全確認をする担当を決めておく。
(事故例2:車椅子転倒)
原因:フットレストが下がったままの立ち上がり
・・・要介護者が下がったフットレストに、足を乗せたまま立ち上がろうとして、車椅子に重量がかかりバランスが崩れ転んで頭を打った。
同じようにフットレストに足を乗せたまま、落とし物を拾おうとしたところ、車いすが後ろへ移動するようにずれて転倒した。
改善策:要介護者の行動に注意する
・・・車椅子に乗っているときは、なるべく目を離さないように注意する。
(事故例3:車椅子転倒)
原因:車椅子の整備不良
・・・降りようとしたときに整備不良のため、上がっていたフットレストが下がってしまい、車椅子との間に足が挟まって利用者が転倒した。
改善策:フットレストの点検
・・・フットレストがゆるくなり、下がってしまわないか常に確認する。
車椅子事故を防ぐための方法は?
車椅子利用者と介助者は共に事故を防ぐために、車椅子が安全どうか状態を確認するようにしてください。
また要介護者が安全確認をすることができ
ない場合は、介護者がしっかり安全確認をしなければなりません。
(事故防止のために行うこと)
①駐車ブレーキを必ずかける
・・・車椅子を止めたときは必ず駐車ブレーキをかけ固定し、止まっている状態で介護者がフットレストの上げ下げ、または異常がないかを確認します。
②フットレストの操作は介護者が行う
・・・下げたままで足を乗せたまま立ち上がろうとすると、バランスを崩します。
介護者が上げた状態を確認してから、乗降・移乗を行ってください。
③フットレストの位置は常に把握する
・・・車椅子の中でフットレストが一番前に出ています。
それを忘れて車椅子に要介護者を乗せたままベッドに近づけてしまうと、フットレストがベッドに激突します。
介護者は車椅子利用者が衝撃を受けないように、フットレストの位置をしっかり把握することが必要です。
まとめ
車椅子フットレス事故の原因のほとんどが、上げ忘れと報告されています。
車椅子利用者は、常に安全面の確認をして、怪我をしないよう心掛けましょう。