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近頃は、高齢者ドライバーによる死亡事故や重大事故の報道が目立ち、そのたびに高齢者の免許自主的返納が話題になりますよね。
交通事故自体は免許を持っている人の中でも、一部の人の交通違反や無謀運転により起きるので、必ずしも高齢者だけが起こすものではありません。
しかし、高齢者の中には安全運転を心掛けていても、持病や運転技術の衰え、安全に対する認識不足、アクセルの踏み違いなどが高年齢になるほど多くなってくるのも事実です。
そのため自主的や家族のすすめなどにより、免許を返納する方も増えてきましたが、現在もかなりの高齢に関わらず危ない運転をする方も少なからずいるようです。
今回は、高齢者の方のなかでも免許を返納するかどうか迷っている方に、返納によってどのようなメリットとデメリットがあるのか、免許返納に対しての特典はあるのかについて解説します。
日本での年齢層別免許保有者率は?
(年齢層別免許保有者率:内閣府交通安全白書参照)
2021年(平成3年末)における保有者率は、大きく分けると次のとおりです。
全体では、全人口に対する免許保有者率は、男性約84%、女性66%になっています。
※ %は、男女の合計にしています。
・16歳~19歳:18.8%
・20歳~24歳:74.6%
・25歳~29歳:83.9%
・30歳~34歳:88.6%
・35歳~39歳:92.3%
・40歳~44歳:93.3%
・45歳~49歳:93.2%
・50歳~54歳:94.5%
・55歳~59歳:91.5%
・60歳~64歳:88.6%
・65歳~69歳:81.7%
・70歳~74歳:69.8%
・75歳~79歳:51.8%
・80歳以上:約21.9%
このように現在も65歳以上の高齢者の方も、かなりの人数が免許を保有していますが、将来的に現在よりも高齢者の免許保有者が増えることになります。
高齢者が免許を返納するメリットは?
(メリット)
免許返納により、主に次のようなメリットがあります。
①交通事故の加害者にならない。
・・・車を運転することがないので、加害者になることがありません。
本人や家族にとっても、この点は心配が無くなります。
また自分自身が起こす、自損事故も無くなります。
②車に関する税金や維持費がかからない。
・・・車を持っていないので、車の税金や車検代、ガソリン代がかかることがありません。
③公共交通機関・タクシー・施設などの割引などがある(地域による特典)
・・・各自治体により割引などの特典内容は異なります。
④運転経歴証明書が交付される。
・・・運転免許証のような形をしていますが、公的身分証明書として使用できます。
免許返納してから5年以内に申請すると交付されますが、免許取り消しや免許停止の人は申請できません。
⑤日常生活の運動量が増える。
・・・以前は近くでも車で行っていたが、免許返納により歩く距離が増え、自然に運動量が増えます。
高齢者が免許返納するデメリットは?
(デメリット)
免許返納により、主に次のようなデメリットがあります。
①買い物や病院などに行くのに不便。
・・・高齢者が一番のデメリットと思うことですね。
ただし、病気の人が通院に自動車を運転するのは問題が無いのかという意見もあります。
また公共機関の不便な場所では仕方ない面もありますが、なるべく公共機関や地域の移動サービスを利用するとか、通販や配達を利用することも検討してみましょう。
②外出することが少なくなる。
・・・車が無く不便だと思い、外出することが少なくなり、家に閉じこもる人が多くなります。
家に閉じこもらず、スポーツやウォーキング、趣味などを積極的に行う人や、社会参加などに積極的に活動する方もいます。
③身分証明書の一つが無くなる。
・・・それまで身分証明書としても使用していたが、使用できなくなります。
その代わり、運転免許に似ている「運転経歴京舞所」を交付してもらうことができます
高齢者は免許返納をどう考えているのか?
高齢者とそれ以外の人では、免許返納に対する考え方が違います。
ほとんどの高齢者は、運転能力が低下しているのを自覚しても、運転免許を返納するほどではないと考えています。
また全ての地域で公共機関などが発達しているわけではないので、買い物などで不自由なこともあるかと思います。
そのため、高齢者に対して何か何でも免許を返納するようにと説得するのも難しいですよね。
でも人は必ず高齢者になり、体力や運転能力が低下するので、いつまでも運転できるわけではありません。
元気なうちに少しずつ、なるべく車を使わない日常生活を送った方が良いかもしれませんね。
全国各地の運転免許返納による特典は?
(運転免許返納すると特典がある?)
一般的に65歳以上の方が運転免許返納を行なった場合、住んでいる自治体から特典(支援サポート)を受けることができます。
ただし、自治体によっては免許返納ではなく、年齢によって特典を受けられるものもあります。
それぞれの自治体のウェブサイトで確認できますが、概要は次のサイトを参考としてください。
参考
(どんな特典があるの?)
それぞれの自治体によって特典の内容は異なりますので、「高齢者運転者支援サイト」から運転免許返納者をピックアップしたものを、一部記載するので参照にしてくださいね。
※交付条件などの詳細な内容は、各自治体などのウェブサイトで確認してください。
①北海道(南幌町)
・・・65歳以上。ハイヤーの初乗り運賃24回分を3年間助成。
②北海道(奈井江町)
・・・商品券3000円、町営バスもしくは町内乗合タクシーの利用券6000円相当分、夜光反射材の支援品を支給。
③青森県(七戸町)
・・・65歳以上。町コミュニティバス回数券5000円相当交付。
④青森県(十和田市)
・・・65歳以上。商品券・バス乗車券・タクシー乗車券のうちから1万円相当のもの1種類、または5000円相当のもの2種類交付。
⑤群馬県(館林市)
・・・70歳以上。タクシー券12,000円分交付。
⑥富山県(魚津市)
・・・市内バス(市民バス・地鉄2路線)無料乗車証1年間。
⑦福井県(敦賀市)
・・・65歳以上。バス及びタクシー利用券(20,000円分、有効期限3年)
⑧島根県(雲南市)
・・・65歳以上。総額20,000円以内で、バス・タクシーが利用可能な「優待乗車券」と「温泉施設入浴回数券」を交付。
まとめ
今まで運転していた高齢者に、危険だからもう運転するのをやめろと言っても、本人と周りの人との考えのギャップがあるので、返納しない人が多いのは現実です。
まず、車が無くても日常生活に不自由さを感じない社会にすることが必要だと思います。
また若いうちに、日常生活で車が無い場合についても、考えておきましょう。
早く自動車が自動運転になり、完全管理される時代になるとよいですね。