一般的な住所は、「〇町〇条〇丁目5番地の3」という表示が多いですよね。
ところが住所の中には、〇町大字〇字〇5番地の3 という、一般的な住所と異なる表示をしている場所もあります。
この「大字」「字」とは一体何を表しているのか、気になる方も多いではないでしょうか。
そこで、今回は住所に表示されている「大字」「小字」「字」とは何か?
これらが付いている住所はどこで区切るのか?省略することは可能なのか?などについて解説します。
大字・小字・字にはどのような意味があるの?
(大字とは?)
大字(おおあざ)とは、次の住所のことを言います。
①市町村の行政区画(または区画名称)の一種
・・・明治22年(1889年)に市制、町村制が施行されたときに、それまで使われていた村名や町名をそのまま残したものです。
実際には、市制・町村制が施行された後も、埋立てによる土地の拡張や境界変更などにより、新設された大字も日本各地に存在します。
表記例としては、「〇村大字川下」「〇町大字〇字清田」などがあります。
(小字とは?)
①江戸時代からの村などの下の区画である字
・・・これらを小字と言うようになりました。
また大字の範囲は町や村を単位にしていることが多いですが、小字は田畑や耕地、山林などの土地のまとまった区域を単位にすることが多いです。
そのため、大字よりも小さい単位で、単に「字」と言うこともあります。
表示例としては、「〇町大字〇字川下」「○町小字稲田」などがあります。
(字とは?)
①小字と意味は同じ
・・・市町村内の区画を表す字のうち、大字を除いた区域です。
また、文字の意味として大字、小字、字の3つ全体を字という場合もあります。
ちょっとややこしいですよね。
住居表示と登記簿上の住所の違いは?
住所には、市町村が定めた住居表示と登記簿上の地番があります。
(住居表示)
①住居(建物)に対して振り分けた番号
・・・一般的に郵便物や宅配などの送付先として、わかりやすくするために使われています。
そのため大字や字などの表示は無く、建物が無い場合に住居番号は付いていません。
そして市町村の住居表示は、登記簿上の地番とは一致しない場合がありますが、字を使用していない場合は一致するものもあります。
(登記簿上の地番)
①地番は一筆ごとの土地に付されている番号
・・・条丁目で表示されているものもあれば、大字や字が付くものもあります。
地番は住宅の有る無しに関わらず付されていますが、国有地や未登記の土地には地番はありません。
登記簿上の地番は権利の及ぶ範囲を表しているので、地番に大字や小字が記載されているものは、権利関係の売買や移動などで省略することはできません。
また自動車保管場所証明でも、住民票に大字や字が記載されていると、そのまま表記しないと受け付けてはもらえません。
「字」は住所の中で、どのように区切りをいれるのか?
(大字と字の区切りは?)
字は元々の町名や村名を残しているものが多いので、「大字〇〇」「字〇〇」を一区切りにします。
〇県〇市大字笠松字川下150番地は、
「〇県」「〇市」「大字笠松」「字川下」「150番地」という区切りになります。
文章を書いているときに改行する場合は、大字や字の手前で行うと良いでしょう。
大字・小字などを省略することはできるのか?
(登記簿上の大字、字は省略できない)
契約上の住所など、登記簿上の地番を使用する場合は、大字や字を省略することはできません。
しかし、郵便配達は「郵便番号」を正しく書いてあれば、住所の市町村名(行政区名)までの記載を省略することができるので便利です。
①(省略例)大字が単独な場合
・省略前・・・998-0150 福島県北大島市大字秋吉500-5
・省略後・・・998-0150 秋吉500-5
②(省略例)字が単独な場合
・省略前・・・110-0834 神奈川県山並市丸丘字横山4-50
・省略後・・・110-0834 丸丘横山4-50
③(省略例)大字のあとに字がある場合
・省略前・・・123-0670 山形県山森市大字神田字八塚6-2
・省略後・・・123-0670 神田字八塚6-2
まとめ
大字・小字などを省略できる場合とできない場合があるので、住所を表現するときは注意をしましょう。
正しく住所を表示してくださいね。