日本ではお正月や祝いの席で、お餅を食べることがありますよね。
お餅は縁起物でとても美味しいですが、小さいお子様や高齢者の方が喉に詰まらせることがあるので、注意して食べなければなりません。
お餅が喉に詰まると、最悪なときは亡くなることもあるのです。
そのお餅が、もし喉に詰まった時の応急処置に、掃除機で吸い出すと良いと思っている人は、考え直してください。
餅が喉に詰まったときに掃除機で吸い出すことは、とても危険なのです。
今回は、掃除機を使うと危険な理由と、応急処置や違和感がある場合の良い対処法をご紹介します。
餅が喉に詰まったら、掃除機で吸い出すのはNGなの?
(掃除機の危険性は?)
ドラマやコメディなどで喉を詰まらせたときに、掃除機で吸い出すシーンを見たことがある人はいると思います。
また、掃除機でうまく吸い出せたとか、市販している異物専用ノズルを使い吸引することを勧めている消防署や医師がいる事実はあります。
しかし、掃除機を使うというイメージだけで、専用ノズルを使用しないで吸引すると次の危険性があります。
①掃除機は不潔
・・・掃除機のホースは、日常的に使用しているため、汚れがたまっていることがあります。
そのため、口の中に入れると、細菌やウイルスが体内に侵入する危険性があります。
②口の中を傷つける恐れあり
・・・餅が喉に詰まったとき、慌てて掃除機を使い、口の中に入れてしまうと、口内の粘膜を傷つけることがあります。
また、掃除機のホースが舌を吸い込んでしまい、けがをすることもあります。
③吸引力が強力
・・・強力に吸引すると肺の空気を吸い込んでしまい、肺胞自体を傷つける恐れがあります。
④自発呼吸ができない
・・・掃除機で吸引し続けると、自発的な呼吸ができなくなることがあります。
この場合、命にかかわる危険性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
⑤うまく使えない
・・・掃除機を使用する場合、口の中にホースを入れることが難しい場合があります。
また、掃除機を用意する時間がかかることもあります。
⑥リスクが高い
・・・掃除機を使用する際は、上記のリスクを理解することが重要です。
うまく餅を取ることができれば良いですが、全てうまくできるとは限りません。
結果的に、より危険な状態にしてしまう恐れもあります。
掃除機で吸引するのは、最後の手段として考えた方が良いでしょう。
(餅が喉に詰まった時の対処法は?)
餅が喉に詰まってしまった場合、正しい対処法をご紹介します。
基本的な対処法は、アメリカ心臓協会のガイドラインで推奨されているハイムリック法です。
(基本は救急車を呼ぶ)
前段として、餅を喉に詰まらせた人が窒息状態の場合は、直ちに救急車を呼んでください。
そのときに、窒息状態だと必ず伝えてください。
(ハイムリック法)
①患者の後ろ側に立ち、脇から両手をお腹の方へ回します。
②回した手のうち、片手は握りこぶしを作ります。
③握りこぶしの親指側をみぞおちに当て、もう片手は握りこぶしをつかみます。
④手をみぞおちの内部方向へ突き上げます。
⑤成功すると、空気圧で器官内の異物が吐き出されます。
⑥餅を吐き出すか、意識を失うまで動作を続けます。
(背部叩打法)
ハイムリック法の前に、背部叩打法をするように勧めているガイドラインもあります。
背部叩打法を行う場合は、以下の手順で行います。
①手で背中を叩く
・・・手の付け根を使い、患者の背中(肩甲骨の間)を力強く叩きます。
②患者に咳をさせる
・・・患者に咳をさせて異物を取り除きます。
いずれの方法でも、患者の反応や意識が無くなったときは、救急車が到着するまで、心肺蘇生法を始めてください。
また、これらの方法は餅以外の異物についても有効です。
餅が喉に詰まっているような違和感があるときは?
(違和感に注意!)
餅が喉に詰まっているような違和感は、非常にストレスを感じます。
また、喉に餅が詰まっていないにも関わらず、何か詰まっているような違和感がある方がいるようです。
このような違和感がある理由には、以下のものがあります。
①ストレスによる自律神経の乱れ。
・・・精神的なもので、違和感を感じてしまいます。
ストレスによるものは、ストレス解消のため、適度な運動、十分な休養・睡眠、カラオケなどの対処法を試してみましょう。
②胃液の逆流。
・・・胃酸が逆流して喉に刺激を与えることがあります。この場合は、整腸剤や胃薬を飲むことで改善することができます。
③アレルギーなどによる器官炎症。
・・・胃酸が逆流して喉に刺激を与えることがあります。この場合は、整腸剤や胃薬を飲むことで改善することができます。
④ウイルスや細菌による喉の炎症。
・・・気管に炎症のある場合は肉体的に症状がでるので、異常を感じたら医師の診断を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。
まとめ
餅は美味しいですが、高齢者がのどに詰まらせると大変です。
食べるときには、食べやすい大きさにして、背筋を伸ばしてゆっくりと唾液を出して食べましょう。
なるべく水分を摂りながら、食べるようにしてください。