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差し歯が突然取れた場合、まずは自分で口の中を確認し、取れた差し歯を探してみてください。
見つかった場合は、清潔で衛生的な場所に保管し、できる限り速やかに歯科医師の診察を受けるようにしましょう。
一般的に差し歯が取れた場合、すぐに歯科医院を受診することが望ましいのですが、差し歯が取れるときはほとんどが突然取れるため、すぐに歯科医院に行けないことが多いです。
運よく歯科医院の予約が取れてすぐに治療が受けられればよいですが、夜間や休日、また自分の都合で治療する日が2~3後になる場合も十分に考えられます。
今回は、そうした場合に備え、差し歯の応急処置やその後の治療過程についての流れを説明します。
差し歯が取れたときの応急処置とやってはいけないことは?
差し歯が取れてからすぐに歯科医院で治療を受けることができない場合、応急処置をすることが必要なこともあります。
(応急措置)
①取れた差し歯を保管する。
・・・透明なビニール袋やケースに入れ保管してください。
取れた差し歯は、歯医者が治療を行うときに必要なので、水気を切っておきます。
②救急担当、または夜間診療の歯科医院で応急措置をしてもらう。
・・・痛みがある場合やどうしても応急措置をしてもらいたいときは、救急担当、または夜間診療の歯科医院を探し、対応可能か紹介します。
その時は、差し歯が取れたので応急措置の対応をしてほしいと伝えてください。
③歯が取れたのが恥ずかしい場合は、マスクを着けます。
・・・外出先や自宅以外で歯が取れたのが恥ずかしいと思うときは、マスクで隠すと良いです。
④穴を埋める。
・・・差し歯が取れた穴見は、綿棒や柔らかい紙などを詰めて、食べ物が詰まらないようにします。
ただし、硬い物を詰め込んだり、強く力を加えたりしないように注意してください。
⑤食べ物に注意する。
・・・硬い食べ物や粘り気のあるものは避け、柔らかいものや液体のものを選びましょう。
⑥一時的に入れ歯安定剤で固定。
・・・入れ歯安定剤で差し歯を一時的に固定する方法ですが、強く噛むことができないことと強く噛むと歯が外れる恐れがあります。
人と会わなければならないとか、歯抜けの状態を見られたくないというときは仕方ないですが、歯の治療までに一時的に使用する以外は避けた方が良いです。
(応急処置でやってはいけないこと)
①自分で修理しようとすること。
・・・歯科技工士が作った差し歯は、患者さんの歯に合わせて作られています。
自分で修理しようとしても正しい位置に戻すのは難しく、不適切な修理方法を行うことがあり、かえって悪化させることがあります。
②取れた差し歯を再利用すること。
・・・取れた差し歯を歯科医が確認したうえで再利用する場合もありますが、清潔な状態で保存された場合に限ります。
③差し歯を接着剤で付けること。
・・・アロンアルファなどの瞬間接着剤で付けるのは、絶対にやめてください。
体に悪影響のある成分が含まれており、付けるのがずれると噛み合わせができなくなることや、歯が薄い場合に割れたり歯茎が炎症を起こす可能性もあります。
④歯穴をほじる。
・・・歯が取れたあとの歯穴を爪楊枝などでほぐすのは止めましょう。
薄い歯の場合は、割れることや炎症を起こすこともあります。
⑤長時間放置しないこと。
・・・放置したままだと、周囲の歯に負担がかかることや、虫歯が進行することがあります。
差し歯が取れる原因は?差し歯が匂うのはなぜ?
(差し歯が取れる原因)
①接着剤の劣化。
・・・差し歯を固定する接着剤が古くなり劣化した場合、差し歯が取れることがあります。
この場合は、新しい接着剤を使用することで再利用することができる場合があります。
②歯の根のひび割れ、虫歯など。
・・・差し歯を支えている歯の根にひびが生じることや、虫歯が進行して差し歯を支えることができなくなることがあります。
③差し歯の破損。
・・・差し歯の劣化や歯ぎしりなどで、差し歯自体が破損して外れることがあります。
④差し歯が合わない。
・・・差し歯が土台に合わない、土台の歯自体の変化、噛み合わせが悪いことが原因で取れることもあります。
(差し歯が臭い場合は要注意)
差し歯から匂いがすると感じる場合は、次の状態になっている可能性があるので、早めに歯科医の診察を受けるようにしましょう。
①食べカスや細菌の付着。
・・・差し歯周辺に食べカスや細菌が付着している場合、臭いの原因になることがあります。
差し歯の周りを丁寧に磨いて、清潔に保つことが大切です。
②差し歯の汚れ。
・・・差し歯自体が汚れている場合、臭いの原因になることがあります。
歯科医と相談して、クリーニングを行ってもらいましょう。
③接着剤の劣化。
・・・接着剤が古くなり劣化してくると、臭いの原因になることがあります。
歯科医と相談して、新しい接着と交換することが必要になるかもしれません。
④歯周病や口臭の原因。
・・・差し歯が臭っている場合は、口の中の他の部分に問題がある可能性があります。
例えば、歯周病や口臭の原因の細菌がある場合、臭いの原因になることがあります。
歯科医に相談して、詳しい検査を受けることが必要です。
治療の流れと費用はどのくらい?
(差し歯治療の流れ)
①取れた差し歯の保管。
・・・取れた差し歯はきちんと保管しましょう。
湿気を防ぐために、乾燥剤を入れた清潔なビニール袋に保管すると良いでしょう。
②歯科医師に相談する。
・・・歯科医師に相談し、差し歯を再度装着するための処置を行います。
歯科医師は、差し歯を再度装着するために、差し歯の調整や新しい差し歯を作るかをどうかを決定します。
③痛みの緩和。
・・・差し歯が取れた場合に、歯肉や歯に痛みや違和感がすることがあります。
この場合は、歯痛薬を使用するか、症状がひどい場合は歯科医師に相談してください。
④暫定的な処置。
・・・差し歯が再度装着されるまでの暫定的な処置として、歯の表面に歯科用接着剤を塗って、差し歯を仮止めすることがあります。
⑤新しく差し歯を作る場合は、歯の削り込み。
・・・治療が必要な歯を削り込みます。
⑥型取り。
・・・削り込みが終わったらら、その歯の型を取ります。
歯科医師は取られた型を基に、差し歯を作るための歯科技工士に依頼します。
⑦仮歯の装着。
⑧差し歯の装着。
・・・歯科技工士が作成した差し歯ができたら、装着します。
適切なサイズ、形状、色調整をして、最終的に固定します。
(治療費と治療期間は?)
差し歯の治療費と治療期間は、患者さんの状態や治療方法によって異なります。
一般的な差し歯の治療費の目安は次のとおりです。
①保険内の差し歯の治療費
・・・1本3,000円~8,000円程度。
②金属製の差し歯。
・・・1本あたり10,000円~30,000円程度
③セラミック製の差し歯
・・・1本あたり30,000円~50,000円程度
④セラミック製のインレー(詰め物)
・・・1つあたり15,000円~30,000円程度
(治療期間は?)
①取れた歯を再利用
・・・2~3回程度。
②刺し歯を新たに作る。
・・・3~4回程度。
まとめ
差し歯が急に取れたからと言って、自分で差し歯を応急処置的に付けることは止めましょう。
差し歯が取れるには原因があるので、すぐに治療ができない場合でも、しっかりと歯科医院の治療を受けることをおすすめします。