日常生活の忙しさやストレスによって、私たちの多くが充分な睡眠を取れていないことがあります。
そのため、朝起きたときにまだ眠いとか、日中にも眠気が起きたりします。
この現象は「睡眠負債」として知られ、私たちの健康と幸福に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
この睡眠負債とは何か、その意味は?また睡眠負債があるかどうかを判断する測定方法は?そして睡眠負債を返済しないとどうなるかなど、色々気になることがありますよね。
今回は、これらの疑問に対する解答と、病気や不調のリスクを下げ、睡眠負債を返済・解消するにはどうすると良いのかについて解説します。
睡眠負債とは?意味と測定方法は?
(睡眠負債とは?)
睡眠負債は、日常生活で不足している睡眠時間の累積を指します。
これは、個々の日々の睡眠時間が必要な量よりも少ない場合に、その少ない差が次第に積み重なる現象です。
睡眠負債は、忙しい日常生活のスケジュール、ストレス、社会的な要因などによって睡眠不足になり、増えていくことがあります。
(睡眠負債の意味は?)
睡眠負債の意味は、睡眠時間の不足が身体と精神的な健康に悪影響を及ぼすことを指します。
健康な成人の平均的な睡眠時間は、一晩に約7〜9時間です。
しかし、多くの人が忙しい生活や夜更かし、睡眠障害、ストレスなどによってこの推奨される睡眠量に達していないことがあります。
この睡眠不足が日々積み重なり、睡眠負債を生み出します。
(睡眠負債があるかどうかを測定)
睡眠負債を測定する方法は、オンラインなどに数多く公開されていますが、一般的には以下のような手法があります。
①睡眠時間の追跡
・・・睡眠負債を測定する最も直接的な方法は、自分の睡眠時間を追跡することです。
日記やスマートフォンアプリを使用して、就寝時間と起床時間を記録し、実際の睡眠時間を把握します。
②身体的な症状の観察
・・・疲労、眠気、注意力の散漫、イライラ、集中力の低下など、身体的な症状は睡眠不足の兆候となる場合があります。
これらの症状の変化を観察し、睡眠負債の程度を推定できます。
③認知機能テスト
・・・いくつかのオンライン認知機能テストを利用して、認識能力、反応時間、記憶力などの認知機能に関するテストを行うことができます。
睡眠負債が認知機能に与える影響を評価するのに役立ちます。
④エプワース眠気尺度テスト
・・・このテストは、医療現場で「睡眠時無呼吸症候群」の診察にも使用される、日中の眠気を調べる質問票テストです。
睡眠負債が積み重なると、長期的な健康問題や日常生活における不調を引き起こす可能性があります。
したがって、健康的な生活習慣を確立し、適切な睡眠時間を確保することが重要です。
不足した睡眠を補うために、週末に長時間の睡眠を取ることも一時的な解決策として有効かもしれませんが、定期的な質の高い睡眠が最も効果的な方法です。
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エプワース眠気尺度による睡眠負債の測定とは?
(エプワース眠気尺度テストとは)
オーストラリアの睡眠医学の専門医である、マレー・ジョンズ博士によって開発されました。
自己評価で、日中の眠気の程度を測定する質問に答えるテストで、睡眠障害や睡眠関係の問題を評価する際に使用されています。
エプワース眠気尺度は、以下の8つの日常的な状況での眠気に関する質問に対する回答を集計してスコアを算出します。
①質問に対する点数
0点:ほとんどない
1点:時々ある
2点:よくある(半々くらい)
3点:いつもそうだ
②質問項目
・座って本を読むとき眠ってしまう
・座って人と話しているとき眠ってしまう
・テレビを見ていること眠ってしまう
・人が大勢いる場所(会議・映画館)で座っていると眠ってしまう
・午後に横になって休憩していると眠ってしまう
・昼食後に、静かに座っているときに眠ってしまう
・他人が運転している車に同乗しているときに眠ってしまう
・自分で運転中、信号待ちや渋滞のときに眠ってしまう
③結果
・0~5点・・・睡眠負債はほとんどない
・6~10点・・・やや睡眠負債がある
・11点以上・・・睡眠不足で、睡眠負債があると判断されます。
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睡眠負債を返済しないとどうなる?病気や不調のリスクは?
睡眠負債を返済しない場合、長期的な健康リスクが増加する可能性があります。
以下は、睡眠負債が持つ病気や不調に関連する主なリスクのいくつかです。
(睡眠負債による健康リスク)
①心血管疾患のリスク増加
・・・睡眠不足や長期的な睡眠負債は、高血圧、不整脈、動脈硬化などの心血管疾患のリスクを増加させる可能性があります。
十分な睡眠を取らないことは、血圧の調整や血管の健康に悪影響を及ぼすことが知られています。
②糖尿病のリスク増加
・・・睡眠不足や不規則な睡眠は、糖尿病の発症リスクを増加させることがあります。
睡眠不足は、インスリンの感受性を低下させ、血糖コントロールに影響を与える可能性があります。
③肥満のリスク増加
・・・睡眠不足は、食欲調節に関わるホルモンのバランスを乱し、過剰な摂取や無駄な食事のリスクを高めることがあります。
これにより、体重増加や肥満のリスクが増加します。
④免疫機能の低下
・・・睡眠は免疫機能の正常な運行に重要です。
睡眠不足は免疫機能の低下につながり、感染症への抵抗力を弱める可能性があります。
⑤認知機能の低下
・・・睡眠不足は注意力、判断力、記憶力、学習能力などの認知機能に影響を与えることがあり、日常生活での課題を難しくすることがあります。
⑥心理的な問題
・・・長期的な睡眠負債は、うつ病や不安症状の発症リスクを増加させることがあります。
精神的な健康にも影響を与える可能性があります。
⑦脳の機能低下
・・・睡眠不足が続くと、脳の活動が低下し、集中力や記憶力が低下します。
また、判断力や決断力が鈍り、事故やケガのリスクが高まります。
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睡眠負債を返済・解消するにはどうする?
前にも述べましたが、健康な成人の睡眠時間は7~9時間と言われていますが、生活環境などにより適正な睡眠時間は、個人によって異なります。
睡眠不足を感じるときは、睡眠負債を少しずつ返済する必要があります。
睡眠負債を返済・解消するために、以下の方法があります。
(返済・解消する方法)
①規則的な睡眠習慣を身に付ける
・・・毎日同じ時間に寝床に入り、同じ時間に起きるように心がけましょう。
規則的なスケジュールは、体内時計を調整し、睡眠の質を向上させます。
まずは、1時間程度いつもより早く寝てみましょう。
②快適な睡眠環境を整える
・・・静かで暗い部屋、快適なマットレスと枕、適切な室温など、自分にあった快適な寝室環境を整えましょう。
③スクリーンから離れる
・・・テレビ、スマートフォン、パソコンなどのスクリーンを寝る前に使用しないように心がけましょう。
これらのデバイスの青色光は、脳を覚醒状態にしてしまい、寝つきが悪くなります。
④適切な食事と運動
・・・適切な食事と運動は、睡眠の質を向上させるのに役立ちます。
大量の食事や重い運動を就寝前に避け、軽い運動やストレッチなど、自分がリラックスできる活動を見つけましょう。
⑤カフェインやアルコールの摂取を制限
・・・カフェインやアルコールは、睡眠の質を低下させることがあるため、就寝前に摂取を制限しましょう。
⑥ストレス管理
・・・ストレスが、睡眠不足の主な原因の一つです。
ストレス解消のため、瞑想、ヨガ、深呼吸など心身を落ち着かせる方法を取り入れ、リラックスできる習慣を築きましょう。
⑦昼寝をする
・・・長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げることがあるため、適度な長さ(15分~30分)で昼寝を行うようにしましょう。
⑧医師や専門家の助言を受ける
・・・睡眠問題が慢性的で重篤な場合、医師や睡眠専門家に相談することが重要です。
睡眠不足の原因を探り、睡眠障害の治療法や必要なアドバイスを提供してくれます。
長期的な健康と幸福のためには、睡眠負債を返済・解消することが重要です。
睡眠に十分な注意を払い、健康的な生活習慣を築くことが、日常生活におけるエネルギーと効率を向上させ、疾患や不調のリスクを減少させるのに役立ちます。
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まとめ
良質な睡眠を取ることは、日常生活の質を向上させ、健康をサポートする鍵となります。
睡眠負債の意味を理解し返済を心掛け、バランスの取れた生活を実現しましょう。