車椅子は何らかの原因で歩行困難になった方が、移動するために使用する福祉用具です。
一般の車椅子の構造としては、移動するための車輪と利用者の身体を支える座席、介助用の手押しハンドルが付いています。
そして車椅子の種類を大きく分けると、次の三種類になります。
①介助・看護に使用する
②電動で移動する範囲を広げる
③スポーツなどを楽しむ補助用具として使用する
これらの車椅子の種類と特徴、車椅子でできるスポーツは?スポーツで使用する特別な車椅子の形の違いについて解説をします。
車椅子にはどんな種類と特徴があるの?
(車椅子の性能別の種類)
車椅子は、多様な形状や性能を持つ製品です。以下に、車椅子の性能別の種類とその特徴を紹介します。
①自走式車椅子
・・・20~24インチの駆動輪(後輪)にハンドリムが付いており、利用者が自力で駆動させ移動する車椅子です。
利用者の背中側に介助者が操作できる手押しハンドルが付いているものもあります。
公共施設や病院、スーパーなどに用意されている一般的な車椅子です。
②介助式車椅子
・・・自走式車椅子と似たタイプですが、自走式と異なり後輪は小さくハンドリムは付いていません。
車椅子を自走させることができない利用者が乗り、必ず介助者が後ろにいて操作するタイプです。
③電動式車椅子
・・・車椅子に電動ユニットが付いており、車輪を駆動するのは電動モーターです。
利用者が手元のジョイスティックやハンドルを操作して移動します。
また、免許は不要で歩行者とみなされ、歩道を走ることができます。
④リクライニング式車椅子
・・・一般の車椅子と似ている形ですが、背もたれの傾斜角度を変えることができます。
座っている姿勢を保つことが困難な方が利用します。
⑤ティルト式車椅子
・・・・背もたれのリクライニングと一緒に座席も傾くので、起きて座っている姿勢のままで後ろへ倒すことができます。
身体の動きが制限された方や、長時間座っている方におすすめです。
⑥スタンドアップ式車椅子
・・・通常は一般の車椅子として利用しますが、利用者が立ち上がる姿勢が必要なときに、座席と背もたれが起き上がるような形で利用者の立ち上がりを補助します。
身体の動きを促すことができるため、リハビリにも利用されます。
⑦競技用車椅子
・・・スポーツの種類に合った特徴を持つ車椅子で、パラリンピックや多くの競技会で使用されている車椅子です。
競技に合わせて車椅子を特別仕様にすることもあります。
車椅子を使用して行うことができるスポーツは?
(車椅子を使用する障がい者の主なスポーツ)
①アーチェリー
・・・アーチェリーは、四肢麻痺や胸・腰髄損傷の重度の障がい者の方にも、車椅子を使用して楽しむことができます。
このスポーツは、的に向けて矢を射る技術と精度が求められます。
②車椅子バスケットボール
・・・八の字車椅子を巧みに捜査して攻防を行う、障がい者スポーツでも人気のあるスポーツです。
車椅子によっては高速で走行することもでき、選手同士の技術の差が勝敗に大きく関わってきます。
③車椅子ラグビー
・・・車椅子が激しくぶつかり合うタックルが認められています。
また耐久力のある車椅子を巧みに捜査して、ゴールを目指します。
このスポーツは、選手たちにとって体力と技術の両面での高いレベルが求められます。
④車椅子テニス
・・・ツーバウンドで返球が認められている以外は、一般のテニスと同じです。
⑤卓球
・・・障がいの度合いによっては、車椅子を利用します。
⑥車椅子フェンシング
・・・小型の動きやすい車椅子を使用します。
⑦車椅子カーリング
・・・車椅子に乗ってカーリングを行います。スウィープが無い分、正確なショットが求められます。
⑧バドミントン
・・・車椅子の場合、重度によって区分され、同じクラスごとに協議します。
⑨陸上競技
・・・車椅子を利用した者同士で競います。
種目に合わせた特注のある車椅子を利用します。
⑩ボッチャ
・・・チームに分かれて車椅子を使用して行います。
選手のテクニックが目を見張るものがあります。
一般の車椅子と競技用車椅子の違いは?
(形や強度が違う)
一般の車椅子と異なり、競技用車椅子には様々な改良が施されています。
これは、スポーツの特性や競技の要求に合わせて設計されたためです。
例えば、スピードや耐久性を求められる競技用車椅子には、八の字になった駆動輪やカーボンやチタンを使用した軽量で高強度なフレームや車輪が使用されています。
(競技の特性に合わせる)
それぞれのスポーツに適した車椅子が用意されています。
陸上などでスピードを競う種目では、車椅子本体から前輪を伸ばした形の安定性の良い3輪車が使用されています。
(回転しやすく安定している)
小回りや安定性があり、使いこなせば身体の一部のように操作します。
まとめ
スポーツで使用する車椅子は、一般の車椅子と異なり、特注のオリジナルが多いため、高価になりがちです。
しかし、スポーツにおいては、車椅子が競技の勝敗を左右することがあるため、選手にとっては非常に重要な装備品です。
同じ車椅子と呼ばれていても、一般の車椅子と競技用車椅子はまったく別物であることを理解しましょう。