
街を歩いていると、白杖を持った人が盲導犬と一緒に歩いている姿を見かけることがありますよね。
多くの人は、「盲導犬は視覚障害者を安全に案内する犬」というイメージを持っていると思います。
でも実際には、盲導犬はただ道を歩くだけではなく、周囲の状況を判断しながら、パートナーを支えるためにさまざまな役割を担っています。
今回は、盲導犬の具体的な仕事の内容と、なぜ命令を出すときに英語を使うのかを説明します。
盲導犬とはどんな犬?どのような仕事をするの?

(盲導犬とは?)
視覚障害のある人が安全に歩けるようサポートするために、専門的な訓練を受けた犬のことです。
実際に活動するときには、「盲導犬」であることを示すハーネスや標識を身につけ、必要な証明書類も携帯しています。
また、日本では道路交通法によって、視覚障害者が公道を歩く際には、政令で定められた白杖を使用するか、盲導犬を連れて歩くことが定められています。
(盲導犬のお仕事は?)
①道の端を歩く
・・・盲導犬は、道の左側を歩くように長年の訓練で習得しています。
②道にある障害物(自転車やすれ違う歩行者などを教える。
・・・障害物を避けるために訓練されており、ユーザーを守るために道路上の障害物を知らせくれるので安心です。
③十字路や道の角を教える。
・・・道の角や十字路では、常に止まって指示を待ちます。
十字路では、どの方向に進むべきかを教えてくれます。
④階段や段差のある場所を教える。
・・・階段や段差がある場所では、手前で止まってユーザーに教えます。
階段の上り下りや段差の大きさも、ある程度わかるので、安全に歩行することができます。
⑤人の指示した方向に進む。
・・・ユーザーの指示に従って、階段やドア、券売機、バス停、椅子などを探して案内します。
ただし、目的地を言えば、カーナビのように詳しく案内できるようにはなりません。
ユーザーが目的地までの地図を頭でイメージして盲導犬に指示を出し、盲導犬とともに角や階段、ドアなどを確認しながら協力して目的地まで歩きます。
⑥感情的なサポート。
・・・盲導犬は移動を助けるだけでなく、視覚障害者にとって大切な心の支えです。
⑦日常生活のサポート。
・・・外出時の移動だけでなく、日常生活の中でも盲導犬は活躍しています。
必要な場所へ移動する手助けをしたり、簡単なサポートを行ったりしながら、ユーザーの暮らしを支えています。
盲導犬に適している犬種はなに?どのような訓練をするの?

(適しているのは、どんな犬?)
①人間のことが好きな犬。
・・・人と一緒に過ごすのが好きで、人から褒められるのが好きな犬、性格が素直で従順な犬、落ち着いている犬などです。
日本では、こうした性格を持つ代表的な犬種として、レトリバー、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーのミックス犬が採用されています。
(盲導犬の訓練は?)
①厳しい訓練は行わない。
・・・盲導犬の訓練は一般的には厳しいと考えられがちですが、実際の訓練は訓練士と犬との深いコミュニケーションに基づいて行います。
訓練士は犬と一緒に遊びながら、褒めながら、盲導犬として必要な仕事の内容を楽しく教えていきます。
②犬は楽しみながら仕事を覚える。
・・・犬は、人と楽しく関わる中で多くのことを学びます。
犬が楽しみながら仕事を覚えていくことが、盲導犬の訓練として重要なポイントです。
③盲導犬の訓練期間。
・・・訓練には通常約1年~1年半程度かかります。
訓練士は犬の性格や能力を把握しながら、個々の犬に合った訓練を行い、最終的には実際に視覚障がいの人との生活を想定した訓練を行います。
訓練修了後には、視覚障がいの人へのマッチングを行い、新しいパートナーとしての生活が始まります。
盲導犬への指示を英語で行うのはなぜ?

(日本語より英語?)
①元々指示は英語で行っている。
・・・盲導犬の訓練法は、アメリカや英国から教わったものなので、元々英語で指示を出しています。
犬とは会話することができないので、簡単な単語で指示を出します。
主な指示単語は「ストップ」「ウエイト」「グッド」などのわかりやすい単語です。
こうした単語なら日本語でも良さそうですが、日本語では方言があることや、男女の言葉やアクセントの違いなどがあります。
②日本語ではわかりづらい。
・・・例えば、英語では「グッド=良い子」ですが、日本語では「よしよし」「いい子、いい子」「賢いね」など、様々な言い方があるので、犬は何の指示か迷ってしまいます。
そのため、日本語より英語のほうが指示を理解しやすいと考えられます。
その点、英語の指示はシンプルで短いので、わかりやすいようです。
③訓練では、指示を出す言葉は非常に重要。
・・・指示を正しく理解できなければ、盲導犬は目的地に正しく導くことができません。
そのため、指示はできるだけシンプルで分かりやすい言葉で出す必要があります。
盲導犬の訓練では、指示は常に正確で一貫性のあるものが使用されます。
指示はできるだけシンプルで分かりやすく、かつ標準化されたものである必要があります。
英語の指示は、世界共通語として標準化されており、シンプルで一貫性のある指示となっています。
一方で、日本語の指示は方言などによって言い回しが異なるため、標準化しにくく、必ずしも一貫性のある指示とはなりません。
したがって、盲導犬の訓練では英語の指示を使用することにより、正確で一貫性のある指示を行うことができると考えられるのです。
(指示する言葉)
指示には、一部ですが次のものがあります。
ほめるときは、「グッド」と言ってよくほめるようにします。
・シット・・・座れ
・カム・・・来い
・グッド・・・良い子だ
・ダウン・・・伏せ
・ウエイト・・・待て
・ヒール・・・左へつけ
・ストレート・・・まっすぐ
・ライト・・・右へ
・レフト・・・左へ
・ストップ・・・停まれ
・アップ・・・階段を上がる
・ダウン・・・階段を下がる
まとめ
盲導犬はユーザーのパートナーとして、安全で自立した生活を送るために不可欠な存在です。
盲導犬を見かけたときは、盲導犬の邪魔にならないように気をつけましょう。