日本では、バリアフリーを含むユニバーサルデザインの実現化を進めています。
ユニバーサルデザインは、障がい者だけではなく、できるだけ多くの人々が誰でも快適に簡単に利用できる施設、環境、建築、空間をデザインすることです、
バリアフリー関連でいえば、車椅子用エレベーター、スロープ、ノンステップバス、車椅子用自動販売機、ピクトグラム標識・案内板などが該当します。
今回は車椅子でも利用できるエレベーターをピックアップして、ユニバーサルデザイン化された寸法などの基準点とか、エレベーターに鏡が付いている理由などについて、解説します。
車椅子用エレベーターの基準は?
(関係資料)
バリアフリー関連のエレベーターの基準の詳細については、下記の資料を参考にしてください。
・(国土交通省)高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/barrier-free.files/guideline12.pdf
(主な設計基準)
①多数の者が利用する
・かご及び昇降路の出入り口幅:80㎝以上
・かご奥行き:135㎝以上
・かご幅:140㎝以上
・乗降ロビー幅・奥行:150㎝以上・・・高低差はないものとします。
・かごは、車椅子の転回に支障しない構造にする。
②不特定多数の者が利用する
・かご幅:160㎝以上
・かご及び昇降路の出入り口幅:90㎝以上
・乗降ロビー幅・奥行:180㎝以上・・・高低差はないものとします。
車椅子用エレベーターに鏡がある理由は?
エレベーターに乗ったときに、正面の奥の壁に鏡が設置されていることがあります。
多くの人は、自分の身だしなみやメイクのチェックをするためと思っているかもしれませんね。
当然そのような使い方もありますが、本当は別の意味があるのです。
(鏡がある理由は?)
鏡が付いていない場合、車椅子利用者は転回しないと後ろの状態が確認できないので、後ろに人がいるのか、扉を閉めるタイミングがわからない場合が多いのです。
鏡を付けることで、車椅子利用者がエレベーターに前向きに乗り込んだときに、かごの中で転回しなくても、扉の開閉状態が確認できるということなのです。
基本的に床上40㎝から150㎝程度の鏡が望ましいとされています。
車椅子用エレベーターの他の設備・備品は?
バリアフリー法に基づく各自治体の建築設計基準の中では、車椅子用エレベーターの設備関係についても定められていますので、代表的なものをご紹介します。
(乗降ロビーの乗り場ボタン)
①設置位置は床高100㎝程度
・・・子供や車椅子に乗ったままでも操作できる高さ。
②開放時間が通常より長い
・・・車椅子使用者が慌てないで操作できるように、開放時間を通常より長くしています。
例えば一般が5秒であれば車椅子用は10秒程度です。
③点字も表示する
④音声による案内
・・・視覚障害者の場合は、エレベーターが到着しても、上がりさがりが認知できないので、音声による昇降を案内します。
(てすり)
①手すりをつける
・・・正面、両側面の壁に握りやすい、つかみやすい形状のもの。
②取り付け高は、75㎝から85㎝。
(操作盤・副操作盤)
①操作盤・操作盤を設置する
・・・かご内にかごが停止する予定の階、かごの現在位置を表示する装置を設置します。
・かご内と乗降ロビーに、車椅子利用者が使いやすい位置に制御装置を設置します。
まとめ
比較的新しいエレベーターには、ほとんど鏡が付いています。
これは主にバリアフリーに対応する設備だったのです。
また見慣れない設備がある場合は、バリアフリー法に基づく基準またはユニバーサルデザインの考えに沿った設備と考えてよいでしょう。