東京2020パラリンピックで日本の車いすバスケチームは、日本で初めての銀メダルを獲得しました。
パラリンピックの花形スポーツの一つであり、アメリカ発祥の車いすバスケで銀メダルを獲得するとは凄いですよね。
その車いすバスケですが、日本でも競技大会などが行われ、少しずつでも知名度が増えてきましたが、世界的な状況や競技人口はどのようになっているのでしょうか。
また車いすバスケ選手と健常者との関わりについてもご紹介します。
車いすバスケとは?どんな競技規則?
(車いすバスケとは)
車いすバスケは、正式には「車いすバスケットボール」で、障がい者が車いすに乗って行うバスケットボールのことをいいます。
一般のバスケとほぼ同じルールで行われ、コートの広さ、バスケットの高さ、試合時間、得点も同じです。
(みどころ)
①トラベリング
ボールを持っているときに車いすを漕ぐのは連続2回まで、3回以上漕ぐとファールで相手のスローインになります。
②ダブルドリブルがない
車いすバスケにはダブルドリブルはありません。
車いすを漕ぐのを2回以内でドリブルすると、また漕いでも良いので何回も繰り返すことができます。
③(障がい程度によるクラス分け)
コート内でプレーできる選手は5人で、障がいの程度でクラス分けされ、合計で14ポイントを超えてはいけません。
(誕生の歴史)
車いすバスケの誕生には、次のような歴史があります。
①アメリカで誕生
1946年第二次世界大戦で負傷して車いす生活になった傷痍軍人達が、全米退役軍人病院で始めた。
②イギリスで誕生
同時期:イギリスのストーク・マンデビル病院で、障がい者のリハビリテーションの一環として車いすバスケを採用した。
同じ時期にアメリカとイギリスで車いすバスケが生まれ、やがて世界中に広まりパラリンピックでも採用されるほどのスポーツに発展し普及したようですね。
(日本での普及は?)
この車いすバスケが日本で紹介されたのは、1960年にストーク・マンデビル病院に留学した整形外科医「中村裕」によるものでした。
中村裕は、身体障がい者のスポーツ振興をすすめ、日本パラリンピックの父と呼ばれています。
車いすバスケの競技人口はどのくらい?
(世界の競技人口)
国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)によると1989年に設立され、現在は53国・地域が加盟しているようです。
世界の競技人口は資料が見つからなかったのでわかりませんが、ドイツでは2018年でチーム数約180で約2,500名もいると言われています。
(日本の競技人口)
一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)によると、2022年4月1日現在で
会員数:711名(男602名・女109名)
チーム数:71チーム
JWBF公式HP:
1998年頃には競技人口1,099名・92チームありましたが、2003年以降急激な競技人口の減少があります。
ただし、公式の競技大会に出ないレクレーションで行っている方や、未登録の競技者もいるので実数はどの程度がわかりません。
(競技人口が減った理由)
①障がい者の競技種目が増えた
・・・競技種目が増えたことによって、障がい者の選択肢が増え、競技者が分散された
理由としては、障がい者の競技種目が増え、他の種目に競技者が分散された。
②高齢化によりレクレーション化した
・・・競技するよりレクレーション化を高齢者は望んでいる
③連盟登録費が高い
・・・登録料:5,000円の負担が大きい。
車いすバスケは健常者も参加できるの?
(クラス分けの基準の違い)
車いすバスケは障がいの度合いによってクラス分けされますが、一番障がいの軽いクラスは4.0~4.5のポイントとなっています。
このクラスになると、かなり健常者に近い障がい者のため、車いすに乗っていないと健常者と見分けがつかない場合もあります。
そのため、健常者に近い障がい者でもバスケを広げたいIWBFと、しっかりとした厳しい基準で競技を行うという国際パラリンピック委員会とクラス分けの基準が分かれ、IWBFで認められた競技者がパラリンピックでは、世界で9選手が出場不適格と判断されました。
(日本の場合)
日本の場合は、2019年に開催された「車いすバスケットボール天皇杯日本選手権」で、健常者のクラス分けを4.5点(国によって5点もある)として出場を認めました。
チームに健常者を入れても、障がい程度の低い選手だけでは試合が成り立たないためです。
例えば5人のうち健常者が4.5点の場合、あとの4人で9.5ポントでなければならないので、はっきり有利とはいえないということですね。
実際に健常者が全て障がい者よりも、技術的に上というわけではありません。
健常者と障がい者が混合することで、車いすバスケの技術向上と競技人口を増加させたいとの目的がJWBFにはあるようです。
まとめ
車いすバスケの競技者への調査によると、障がい者の約97%が健常者とプレーしたことがあるという回答があり、はっきり拒否する姿勢ではないと思います。
今後も障がい者と健常者が共に楽しめるスポーツとして、発展すると良いですね。