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日本は、台風や大雨、強風などの自然災害が多い国で、これらの影響で地滑りや洪水などの被害が全国各地で頻発しています。
そして、住宅の崩壊や道路の冠水といった問題が起きており、災害によって自宅が被害を受けた場合、復旧するためには「被災証明書」や「罹災証明書」の手続きが必要となります。
しかし、これらの証明書の違いをよく理解していない人が多く、手続きに困惑してしまうことがあります。
今回は、被災・罹災の違いや「被災証明書」「罹災証明書」の申請などの手続きについて説明します。
被災と罹災の違いはなに?
(被災とは?)
災害が発生した地域に住んでいる人々が、災害の影響を受けたことを指します。
例えば、地震や洪水が起こった場合、住んでいる家屋が損壊したり、生活必需品が失われたりすることが被災となります。
(罹災とは?)
労働者や事業者などが、災害の影響を受けて損害を被ったことを指します。
例えば、仕事で使用している機械が壊れた場合や、被災地域にある事業所が災害の影響で、閉鎖しなければならなかった場合などが罹災となります。
(被災と罹災の意味に大きな違いはない?)
被災と罹災は共に災害によって被害を受けたことを表す言葉ですが、被災は災害に対する被害を受けたことを一般的に表し、罹災は保険金や損害賠償を受けることを前提とした表現として使用することが多いようです。
例えば、被災は被害を受けたという事実を表しますが、罹災は被害の程度を表すときに使うことです。
また、被災は災害を受けた「人」のことを言い、罹災は災害を受けた「建物」のことをいう説もあります。
一般的には同義語として同じ意味とされており、大きな意味の違いはないようです。
「被災証明書」と「罹災証明書」とは?
被災証明書と罹災証明書は、災害復旧に必要な書類なので、被災した場合は申請するようにしましょう。
共に重要な書類なので、適切に扱うようにしてください。
一般的には下記の内容の証明になります。
(被災証明書)
自然災害(火災は除く)によって、不動産、動産などに被害を受けた場合に、被害を受けた事実を証明するもので、市町村が発行するものです。
被災者からの申請によって、写真または現地調査により、市職員等がその事実を現認します。
(罹災証明書)
自然災害(火災は除く)によって、住居に被害を受けた場合に、被害の程度を証明するもので、市町村が発行するものです。
被災者からの申請によって、市職員等が国の基準に基づいて実施するものです。
被害の程度は下記のとおりです。
①全壊(50%以上)
②大規模半壊(40%以上50%未満)
③中規模半壊(30%以上40%未満)
④半壊(20%以上30%未満)
⑤準半壊(10%以上20%未満)
⑥準半壊に至らない(一部損壊:10%未満)
被災証明書と罹災証明書の申請について
(被災証明書の申請)
各市町村によって、被災証明書と罹災証明書の申請方法が異なる場合があるので、住んでいる各市町村のホームページで申請方法と内容を確認しましょう。
被災証明書は、被害程度の判定はなく、被害にあったという事実の証明だけです。
保険の請求や補償内容の確認については、被害程度の判定を証明している罹災証明書を使用するのが一般的です。
何らかの提出先に提出を求められたら、必要なのは被災証明書ではなく罹災証明書ではないのかなど事前に確認することをおすすめします。
(罹災証明書の申請)
罹災証明書は、災害の規模により被災者生活再建支援金の支給などのほか、様々な被災者支援を受ける際に必要となる書類です。
各市町村で支援内容や申請方法が異なる場合があるので、各市町村のホームページで、申請様式や申請方法を確認してください。
(罹災証明書には有効期限がある)
罹災証明書の発行を受けるには、申請期限があります。
また、提出先への期限もあると思うので、なるべく早い時期に申請をした方が良いです。
①申請期限は各市町村で異なる
・・・災害発生時から14日から6カ月など各市町村で期限が異なるので、確認することをおすすめします。
②現地調査がある
・・・基本的に証明書は、現地調査(一週間以上かかる場合が多い)によって発行されるので、余裕を持って申請する必要があります。
③修繕や解体前に必ず申請する
・・・基本的に、修繕や解体を行なっている途中や、復旧工事完了後の申請はできません。
必ず、住宅の復旧前に申請する必要があります。
④提出先への期限を確認する
・・・罹災証明書自体に有効期限はありませんが、各公的支援金には申請期限があります。
そのため、自分が受ける支援金などの有効期限はしっかり確認してください。
このように、罹災証明書は、被災者が生活再建をするために欠かせないものであり、申請期限や有効期限の確認が重要です。
被害箇所の写真撮影について
(被害写真は重要)
罹災証明書を申請したが現地調査に時間がかかるとか、住むために復旧ではないけど後片付けをして住めるようにしたいということが多いと思います。
そのようなときも含めて、被災を受けたそれぞれの箇所については、写真をしっかり撮影しておきましょう。
現地調査時に確認できないこともあるので、写真を撮影しておくのは重要です。
(写真撮影のポイントは?)
①建物全体を撮る
・・・建物全体を撮れない場合は、周りの道路等の建物周辺の状況がわかるように撮影します。
②表札等の所在地情報を撮る
・・・住宅の特定や所在地特定情報を撮り、所在者と申請者の関係をはっきりさせます。
③被害箇所は、全部撮るようにする
・・・被害箇所は、1~2m程度離れた場所から撮影します。
被害箇所は、できる限り全部撮影するようにして、細かい部分も撮影しておきましょう。
④浸水被害などはメジャーをあてる
・・・浸水被害の場合は、可能であればメジャー等をあてて、浸水高がわかるように撮影します。
まとめ
以上のように、被災と罹災の違いや証明書の手続きについて理解することは、大規模災害に備える上で非常に重要です。
自治体や保険会社などの情報を確認することや、災害発生時にスムーズな手続きができるように準備しておくのをおすすめします。