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車椅子で段差を乗り越える限界は?介助やスロープで段差を解消できる?

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車椅子を利用している方にとって、日常生活で最も困難な場面の一つは段差です。

健常者なら何でもないような5㎝の段差でも、車椅子に乗っている方の中では、乗り越えることができない場合があります。

車椅子で段差を乗り越えるのに困っている方を見かけた場合は、積極的に手伝いを申し出ましょう。

手を差し伸べることができる人がいると、車椅子に乗っている方は大変助かります。

今回は、車椅子で段差を乗り越えるための介助の限界と、段差を解消するスロープの長さについて解説します。

車椅子で段差を乗り越えるには?

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(介助とスロープ)

車椅子利用者でも力のある方は、多少の段差を乗り越える人もいるかもしれませんが、ほとんどの方は段差を乗り越えるのは難しいです。

その段差を乗り越える方法としては、主に介助して乗り越える方法とスロープを利用する方法があります。

①介助する方法

・・・車椅子のティッピングレバーを踏んで、キャスターを浮かせて段差を乗り越えます。これは介助する人が行います。

②スロープを利用

・・・公共施設や交通施設など、日常生活で利用することの多い場所では、車椅子用のスロープが用意されていることが多くなりました。

階段などを車椅子で上がることができないので、車椅子用スロープを利用することになります。

自走できる車椅子利用者であれば、スロープを利用することが多いです。

車椅子で段差を乗り越える介助の限界は?

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(段差乗り越え実験)

九州大学大学院(能登裕子氏・村木里志氏)による研究によると、介助で乗り越えられる段差の限界は10㎝程度であることが分かっています。

介助者の体力や技術、車椅子利用者の体重や体格によっても異なりますが、12㎝を超える段差になると、乗り越える難易度が高くなります。

(実験の概略)

九州大学大学院による車椅子利用者による段差乗り越えの安全性の研究では、以下のような実験が行われました。

①介助者:60代女性11名(平均年齢約64歳、体重約64kg)

・・・高齢女性の介護者が増えていることを考慮し、実際の介助経験がない~1、2回程度の経験しかない被験者が選ばれました。

②車椅子利用者:女性(体重約53kg)

・・・一般的な女性を選んでいます。

③段差は0.5㎝~15㎝

・・・15㎝は11人中8人が操作不可でした。

④乗り越え方法:前輪を浮かせて段差を乗り越える

・・・一般的なティッピングレバーを踏んで、前輪を浮かせて段差を乗り越え、その後後輪を浮かせて前進して乗り越す方法を採用しました。

(実験結果:乗り越えられた人数)

各段差のうち、乗り越えられた人数は次のとおりでした。

①0.5㎝~6.0㎝・・・11名
②9.0㎝・・・9名
③12.0㎝・・・5名
④15.0㎝・・・3名

6~9㎝であればほとんどの介助者は段差をクリアできるようですが、12㎝を超えるあたりから難易度が増すようです。

また9㎝以上になると、バランスが崩れることもあり、車椅子利用者の乗り心地が悪くなりました。

(実験結果)

①限界は10㎝程度

・・・結果的に、介助で乗り越えできる高さは10㎝程度が限界のようです。

段差を解消できるスロープの長さは?

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バリアフリーのスロープ長)

段差解消の方法には、緩やかなスロープを付けて、安全に段差を乗り越える方法があります。

これにより、安全かつ簡単に段差を乗り越えることができます。

しかし、スロープの長さについては、何が最適なのでしょうか。

①スロープの勾配基準

・・・バリアフリー法の中で屋内1/12、屋外1/15と決まっています。

これは、車椅子で乗り越え可能な勾配を示しています。

②スロープの長さ

・・・例えば10㎝の段差を解消するスロープの長さはどの位になるのでしょうか。

・1/12・・・スロープ長=10㎝×12=120㎝

・1/15・・・スロープ長=10㎝×15=150㎝

これらの長さよりスロープを長くすると、より緩い勾配で乗り越えやすくなります。

現在は、持ち運びができるスロープも販売されており、より簡単に段差を乗り越えることができるようになりました。

スロープを持ち運びすることで、車椅子利用者の方々により多くの場所へのアクセスが可能となります。

まとめ

車椅子での移動において、段差は大きな障害となります。

そのため、スロープを活用することで、より安全かつ簡単に段差を乗り越えることができます。

また、スロープを持ち運ぶことで、車椅子利用者の方々により多くの場所へのアクセスが可能となります。

車椅子利用者の方々が困っている場合には、スロープを押してあげることができれば、少しでも助けになるでしょう。