現在は、身体の不自由な方や怪我人、歩行困難な方にとっては、移動手段として欠かせない福祉用具として、車椅子を利用することが多くなりました。
そして、公共施設や商業施設、交通機関などでも玄関や出入口に車椅子を置くことが一般的になっています。
しかしながら、車椅子がどのように生まれ、どのように進化して現在の形になったのか、車椅子の歴史を知りたい人も多いのではないでしょうか?
今回は、車椅子の世界と日本での歴史について、まとめましたのでご紹介します。
車椅子の歴史、車椅子はどこで生まれた?
(車いすの歴史)
車椅子の歴史は古く、記録に残っているものから判断すると次のようになります。
古い記録になると後世に脚色した話もあり、実際にその時代に使われていたかは不明のものもあるので、あくまでも参考としてください。
①紀元前6世紀~5世紀頃
・・・中国の碑文や、ギリシャの花瓶に描かれた乳母車が最初と言われています。
最初は車輪の付いた家具として作られ、人を運ぶ目的ではなかったという説もあります。
②3世紀頃
・・・荷物を運ぶために自然発生的に車輪のついた道具として生まれました。
やがて、手押し車のような形状が一般的になり、人を運ぶためにも使われるようになっていきました。
三国志好きの方ならご存知かもしれませんが、諸葛亮孔明(障害者ではありません)が車輪の付いた椅子で移動している描写が小説や映画で描かれています。
③1595年
・・・スペイン王フェリペ2世の肖像画に、召使いに押してもらう車椅子が描かれています。
今でいう介助型のような車椅子ですが、車輪が小さくあまり実用的とは言い難いものでした。
④1650年
・・・時計職人ステファン・ファルファが、自走式の車椅子を考案しました。
でも現在の車椅子とは異なり、後輪2個前輪1個の三輪車型で、前輪をクランクで回して進む物でした。
⑤19世紀
・・・現在の自走式車椅子に近いハンドリムが付いた車椅子が開発されました。
これにより、車椅子の操作性が大幅に向上し、より多くの人々が利用できるようになりました。
1932年
・・・世界初の金属フレームの車椅子が開発されました。
この頃からは、現在の車椅子とそれほど変わらないような形になりました。
車椅子は、人々の生活を支える重要な製品の一つとして、ますます普及していくことになります。
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日本での車椅子の歴史は?
(日本での車椅子の歴史)
車椅子は、日本においても発展してきました。
日本の車椅子は、世界の車椅子とは異なる形状をしており、その歴史は次のように発展してきました。
①中世・近世
・・・中世や近世には、荷物を運ぶ荷車とは別に、障害や疾病によって歩行が困難な人々が使用する「土車」「箱車」「いざり車」などと呼ばれる箱状の物に4つの車輪が付いた乗り物が存在しました。
これらの乗り物は、中に座り、棒で地面を突いたり、縄で引っ張ったりすることで移動します。
②大正初期
・・・大正初期には、アメリカやイギリスなどから西洋式の車椅子が輸入されるようになりました。
③1920年
・・・北島藤次郎が藤製の車椅子を作り、戦傷者や障害者、入院患者など一部の病院で使われるようになりました。
④第二次世界大戦(1941年~1945年)
・・・第二次世界大戦中、多くの兵士が負傷し、また、当時は障害への理解や関心が高まっていたこともあり、車椅子の需要は急激に高まりました。
しかしながら、当時は物資が不足していたため、車椅子は障害者に行き渡ることができませんでした。
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日本の車椅子は、どのように発展した?
(日本で普及したのは?)
西洋式の車椅子が第二次世界大戦後に日本に普及したことは、広く知られています。
しかし、その後の日本の車椅子文化の発展については、あまり知られていません。
①1951年
・・・身体障害者福祉法が制定され、車椅子の普及が少しずつ進んでいきました。
この法律は、身体障害者が社会に参加する権利を保障することを目的としており、車椅子を含む福祉用具の整備が求められました。
②1964年
・・・東京オリンピック開催時の西洋式の車椅子の優秀なことを目の当たりにして、日本でも急激に車椅子の性能がアップしました。
また、車椅子の普及も一気に伸びました。
③1968年
・・・日本で最初の電動車椅子が開発されました。
これにより、自力では移動できない人々も、より自由に社会に参加することができるようになりました。
④1990年以降
・・・ハートビル法などが制定されバリアフリーの推進により、車椅子の利用や移動がスムーズにいくようにフラット化、スロープ化などを整備した施設が増えてきました。
このような施策により、車椅子の利用者がより快適に社会に参加できるようになったのです。
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まとめ
車いすは、海外で発明され、日本にも伝えられました。
しかし、日本では、日本人の体形に合わせた大きさの物や使いやすいように色々改良が施され、独自の車椅子文化が発展してきました。
現在では、歩行に不自由な人の「足」として、様々なシーンで使用されています。