日本には、西暦とは別に古くから天皇の即位や時代の重大な転換を象徴する「元号」という独特な文化があります。
現在使用されている元号は「令和」ですが、いずれ次の元号へと移行する時が訪れます。
今回は、日本の元号とは何か?元号制度の存続問題、元号の歴史と豆知識について解説します。
日本の元号は、どのように決定されるのか?
(元号とは?)
元号は、日本の独自の年号制度です。
天皇の即位に際して改められ、時代を区分する役割を果たしてきました。
中国の年号制度を起源とし、日本では大化の改新時(645年)から現在まで使用されています。
現在中国では使用されていいないので、公的には世界で日本だけが制定・使用されています。
(次の元号はいつ発表されるのか?)
つまり、前の天皇の在位期間が終わったときに新しい元号が発表されることになります。
具体的な時期はまだ決まっていませんが、天皇陛下の次の御代が始まる際に発表されます。
皇太子殿下のご即位が近づくにつれて、議論が活発化していくでしょう。
(誰が決定するのか?)
1979年(昭和54年)10月に元号法に定める元号の選定について、具体的な要領が定められました。
元号は、次の流れによって決定されます。
①候補者の考案
選ばれた有識者は、各2~5の候補名を考案し、意味や典拠等の説明を付して提出します。
②候補名の選定・整理
・・・内閣官房長官は、提出された候補名について検討・整理し、結果を内閣総理大臣に報告します。
候補名の選定・生理は、次の事項に留意しなければなりません。
「元号法に定める元号選定手続きについて(昭和54年10月23日閣議報告)参照」
・国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
・漢字2字であること。
・書きやすいこと。
・読みやすいこと。
・これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと。
・俗用されているものでないこと(人名・地名・商品名・企業名等は不可)。
③原案の選定
・内閣総理大臣の指示により、整理された候補名について、内閣法制局長官の意見を聴いて、原案として数個の案を選定します。
・内閣官房長官は、各界の有識者の参集を得て、元号に関する懇談会を開催し意見を求めて、その結果を内閣総理大臣に報告します。
・内閣総理大臣は、新元号の原案について衆議院及び参議院の議長泳ぎ副議長に連絡して、意見を伺います。
・全閣僚会議において、新元号の原案について協議します。
④新元号の決定
(候補となる言葉は?)
新元号の候補となる言葉は、非公開のため正確にはわかりません。
ししかし、過去の元号の選定方法や、近年の社会情勢などを考慮すると、以下のような特徴を持つ言葉が候補となる可能性が高いと考えられます。
①日本の古典や文学作品に由来する言葉
・・・過去の元号の大半は、中国の古典である「易経」や「論語」などから引用されていることが多いようです。
しかし、近年では、日本の古典である「万葉集」や「古今和歌集」などから引用されるケースも増えています。
②平和や繁栄を意味する言葉
・・・元号には、国民の幸せや国の繁栄への願いが込められます。
そのため、「平和」、「繁栄」、「安寧」などの言葉が候補となる可能性があります。
③国際的な視野に立った言葉
・・・近年、日本は国際社会における存在感を高めています。
そのため、「世界」、「国際」、「未来」などの言葉が候補となる可能性が無いわけではありません。
④現代社会にふさわしい言葉
・・・現代社会は、少子高齢化や環境問題など、様々な課題に直面しています。
そのため、「希望」、「創造」、「革新」などの言葉が候補となる可能性もあります。
⑤具体的な候補例(実際に候補になるのかは誰もわかりません)
・和楽(わらく)・・・平和と楽しさ
・泰平(たいへい)・・・平和と安定
・寛永(かんえい)・・・寛大で永続する平和
・明和(めいわ)・・・明るく平和な時代
・新和(しんわ)・・・新しく平和な時代
・平和(へいわ)・・・世界平和
・友愛(ゆうあい)・・・人類愛
・共生(きょうせい)・・・多様性の尊重
・未来(みらい)・・・未来への希望
元号制度の存続:賛成と反対意見は?
元号制度の存続に対して、賛成と反対の意見は様々あります。
(元号制度は必要なのか?)
①賛成意見
・日本の伝統文化の一つであり、歴史と文化を象徴する意味で重要です。
・時代区分として分かりやすく、国民にとって馴染みやすい言葉です。
・皇位継承と密接に関係しており、皇室の重要性を示しています。
・日本人のアイデンティティの一つであり、国民の団結を促します。
・特定の時代を表すための有益なシンボルであり、公共の文書や行事、文化的な活動において広く利用されています。
②反対意見
・国際社会では通用せず、グローバル化の時代にそぐわない。
・西洋暦が広く使われており、非合理的な制度であり、現代社会に必要不可欠ではない。
・年号の重複や改元による混乱が生じる可能性があります。
・宗教的な意味合いを持つ言葉が選ばれることもあるため、特定の宗教への偏りを助長する。
(元号の役割と意義)
①時代区分
・・・西暦とは別に、日本の時代を区分する役割があります。
②皇位継承
・・・皇位継承と密接に関係し、新しい時代の始まりを象徴します。
③日本人のアイデンティティ
・・・国民の共通認識として、団結を促します。
④日本の伝統文化
・・・日本の歴史と文化を象徴します。
(世界から見た日本の元号は?)
①独特な文化
・・・世界で唯一、元号を使用している国であり、独特な文化として認識されています。
②理解の難しさ
・・・国際社会では通用せず、理解するのが難しいと言われています。
③皇室制度との関係
・・・皇室制度と密接に関係しているため、理解には皇室制度への理解が必要です。
④日本の文化に対する興味
・・・日本の伝統文化として、興味を持っている人も少なくはありません。
元号の歴史と豆知識
(元号の起源と変遷)
①起源
・・・元号は、中国で西暦紀元前2世紀に漢の武帝が始めたのが起源と言われています。
その後、朝鮮半島やベトナムなど、中国の影響を受けた東アジアの国々にも広まりました。
②日本への導入
・・・日本に元号が導入されたのは、645年の孝徳天皇の時代です。
孝徳天皇は、唐にならって元号を制定することで、日本の新しい時代を宣言したと考えられます。
③変遷
・・・元号は、天皇の即位や改元によって頻繁に変更されてきました。
歴史上最も長い元号は昭和(62年)、最も短い元号は暦仁(2ヶ月)です。
(歴代天皇と元号のリスト)
歴代天皇と元号のリストは、以下のウェブサイトで確認できます。
次のサイトで詳細が確認できます。
(元号にまつわる興味深い話)
元号を決める経過は未公開なので、元号にまつわる話は諸説あるのをご理解してください。
①元号について
・元号は、中国の古典や文学作品から引用されることが多いと言われています。
・元号には、時代への期待や願いが込められています。
・元号は、日本の歴史と文化を象徴する重要な要素です。
②「明治」という元号
・「文明」と「啓蒙」という意味を持つ中国の古典『易経』から引用されたと言われています。
・明治以外にも複数の候補があり、明治天皇がくじを引いて選出したという説もあります。
④「昭和」という元号
・明治から昭和時代の漢学者・吉田増蔵が考案しました。
・昭和という元号は、「昭」という字には「明るく輝く」という意味があり、「和」という字には「平和」という意味があると言われています。
⑤候補名
・平成に決定した時の候補には、「平成」「修文」「正化」がありましたが、イニシャルが明治(M)、大正(T)、昭和(S)、と重ならない、平成(H)に決定したと言われています。
・令和の次は、M・T・S・H・Rと頭文字が重ならない文字が選ばれる可能性が高いです。
・ネットなどで予想する、または予想されている候補名からは選ばれません。
まとめ
元号は、単なる年号ではなく、日本の歴史と文化を象徴するものです。
この日本独特の文化である元号について理解を深め、日本の未来について考えていきましょう。