貨物用のエレベーターは別ですが、人の乗降専用のエレベーターには一般の操作ボタンの他に車椅子マークの付いた車椅子用操作ボタンがあります。
一般の操作ボタンと車椅子用ボタンを比較すると、インターホン、方向表示、階数ボタンなど同じような機能が付いています。
同じような機能なら、単に健常者用と車椅子利用者用に分けていると思うかもしれません。
しかし、同じような機能のある二種類のボタンですが、実はちょっとした違いがあるのをご存知でしょうか。
今回は、エレベーターに一般のボタンと車椅子用ボタンがある意味とその違い、車椅子用ボタンを一般の人が使ってもよいのかについて解説します。
一般のボタンと車椅子用ボタンは何が違う?
(設置場所を比べてみよう)
一般のボタンと車椅子用ボタンには、設置している場所に違いがあります。
①一般のボタン
・・・扉の横のスペースに立った姿勢でボタンを押す位置に設置されています。
ほとんどはこの配置です。
扉の横にボタンがあると、出入り口の状態や他の利用者が並んでいるのを確認できます。
②車椅子用ボタン
・・・車椅子に座っている方や介助の方が押しやすいように、床から1m程度の高さに決められています。
一般のボタンよりは低い位置で、壁に設置されています。
違いの一つは、設置高と配置が違います。
(扉の開閉時間の長さが違う)
①一般の開閉時間は3秒~5秒程度。
・・・健常者の場合、この程度の時間で乗り降りが完了すると言われています。
それ以上かかるときは、延長ボタンを押します。
②車椅子用ボタンは10秒間程度に設定。
・・・車椅子利用者が安全に乗り降りするのに時間がかかるので、開閉時間に余裕を持たせていいます。
開閉時間を同じにすると時間が短いため、車椅子利用者が乗り降りを急がされ、扉に挟まれることやぶつかる可能性が高いからです。
(扉が閉まる速度も遅い)
開閉時間だけではなく、扉自体の閉まる速度も車椅子用ボタンの方がゆっくり閉まります。
ゆっくり閉まることで、車椅子の方が焦らないでも乗れるようになっています。
意外と扉の開閉スピードが違うことを知らない人は多いですよ。
一般と車椅子用を設置するにはどんな意味がある?
(一般と車椅子用とを使い分ける)
①車椅子は介助者も乗ることがある
・・・エレベーターに乗る人は、健常者だけの場合や健常者と車椅子の方が同乗するなど、様々なパターンがあります。
②開閉時間は2パターンある
・・・健常者だけであれば、扉の開閉時間を長くする必要はなく、通常の開閉スピードで対応できます。
しかし車椅子利用者がいる場合は、車椅子の方の安全のため、開閉時間を長くしてゆっくり扉を閉めます。
このように開閉時間が2パターンある場合別々に設置することで、健常者だけであれば一般のボタンを押して開閉時間を短くでき、車椅子の方がいる場合は車椅子用ボタンで扉の開閉時間を長くするという、お互いに使い分けできるように設置されているのです。
(車椅子用ボタンで危険回避)
一般的な開閉スピードの場合、車椅子利用者が乗り降りしているときに扉が閉まることもあり、とても危険です。
また、車椅子用ボタンだけの場合は開閉時間が長いので、全員が乗った場合でもしばらく扉が開いたままなので、急いでいる人をイライラさせることもあります。
そのため、健常者だけの場合や車椅子利用者だけの場合、両方の方が混在している場合でも対応できるように2種類のボタンを用意しています。
車椅子用ボタンを一般の人が押すのは規則違反?
(一般の人が押すのは禁止?)
①禁止ではないが、控えること書いてある。
・・・車椅子用ボタンの中には、「車椅子利用時以外のボタン押し禁止」や「車椅子ご利用の方、もしくは付き添いの方以外の使用はお控えください」などの注意書きが貼られている場合や、開閉時間が延長になることを表示している場合があります。
また、何も貼らていないこともあります。
②押すと開閉時間が長くなる。
・・・これは車椅子用ボタンを一般の方が押すと、車椅子利用者がいない場合でも開閉時間が長くなってしまうからです。
一般の方にはこの機能は必要ないので、押す必要が無いです。
(間違って押した場合は?)
①代理で押すことは問題ない。
・・・車椅子の方が乗り降りをしているのを見かけた人が、車椅子利用者や付き添いの人に替わり押すことは、まったく問題はありません。
②時間が長くなるだけ。
・・・「~禁止」とか「~お控えください」などと強い口調で表示されている場合に、間違ってボタンを押しても開閉時間が長くなるだけなので、規則を破ってしまったと神経質に考える必要はないです。
まとめ
エレベーターに車椅子用ボタンがある場合は、一般の人は車椅子用ボタンをむやみに押さないほうが良いと思います。
早く扉を閉めようと思っても、逆に時間がかかってしまうことを思い出してくださいね。